この10年間を振り返って見ると、Windows98に象徴されるように、2000年前後でパソコンとネットワークによるIT革命があり、まずコンピュータ業界が大きく変った。今日では年末のITの10大ニュースでコンピュータ業界が話題になることはまずない。世界的にメジャーなプレーヤが入れ替わったのである。新しいインターネットのプレイヤーである、Yahoo!とかGoogle、Amazonなどで日本でも実際に大きな金が動くというのは、2003年くらいから起こっている。
Googleの広告は、アドワーズのようなものもそうだが、安ければワンクリック7円しか払わない。10円とか15円とか20円とか、いろいろある。今までの広告代理店が、「ワンクリック7円で、月間100クリックだったら700円」という広告を取りに行くだろうか。誰も相手にしない広告であるが、Googleは営業マンがいるのではなく無人のITの仕掛けの広告システムだから成り立つ。
変化はIT業界に留まらず、次にITをうまく取り入れたビジネス開発をするところが、いろいろな産業分野で登場し、書籍におけるAmazonのように従来の産業界の秩序を、それも中心部分から壊し始めている。Amazonでいえば独自の商品管理システムと、配送には日通の倉庫のノウハウが使われているように、本を売るという業務を分解すると個々には特別なものでないとしても、巧妙な組み合わせや管理で新しい関係を築くところに価値が出てくるようになる。ITを使う必要があるとしても業際的パートナーシップがないと新たな価値をもたらすビジネスはできない。
ITによる業界秩序の破壊は印刷の周辺にも波及しつつある。出版とりわけ雑誌の凋落傾向に加えて、広告も電通が2007年度第1四半期に経常利益が前年比マイナス35%となるなどの変化は、直接ITによる代替メディアが登場したからではなく、旧来メディアをヌキにして新たなeBusinessの仕組みを構築してクライアントや生活者と結びつこうとする努力が次第に実を結び始めているからだと考えられる。
旧来メディアがスキップされてしまう理由は、時代が「ボーンデジタル」になったからで、このことはPAGE2007でテーマとした。以前の電子出版のほとんどは紙メディアで作ったものを電子出版で二次利用するものの考え方をしていた。ボーンデジタルは紙メディア先にありではなく、最初からデジタルで情報というのは生まれるのだという考え方である。ビジネスで顧客とコミュニケーションを取るのでも、最初からメールで連絡する場合がある。かつて文書をプリントして封筒に入れて送っていたものもメールに添付する。例えば若い人の日記も、たいてい携帯とかWeb・Blog・SNSで行われる。画像もケータイやデジタルカメラからWebにアップされる。
この1〜2年で話題になったものに携帯小説があり、投稿サイトが活躍している。携帯小説というのは、暇つぶしに携帯で小説を読むというものだが、著者も実は若い人が携帯で書いている場合がある。例えば、東京なら、彼氏と渋谷でデートをするシーンを書こうとするときに、小説を書く人が山手線に乗って、窓から外の光景を見ながら、渋谷に向かいつつ、そこで入力して小説を書いてストーリーをつなげていくような、書き手のほうが完全にデジタルになるという変化もある。
印刷製版の世界では、画像の加工はDTPでどんどん減ったと言っているが、大元の写真素材を加工する、あるいはCAD素材を加工するというところは10倍に広がっていることに気づかない印刷関係者は多い。印刷を含めてメディアの世界はクライアントや生活者との関係を新たに築きなおすことが生き残り戦略になるだろう。我々の頭が2000年前までのクロスメディアやeBusinssが想定外の社会モデルで考えているならば、判断できないことが起こっているのである。
PAGE2008コンファレンスでは、デジタルメディア、グラフィックス、デジタルプリント、MIS/JDF、DMソリューションに関して、先進的な取組みについての発表やディスカッションへの参加を募っています。詳しくは、新ビジネスは新しい関係構築から PAGE2008スピーカー募集の案内をご覧ください。
2007/10/14 00:00:00