再現性を重視した印刷を行うためには、カラーマネジメントの運用は不可欠である。しかし、カラーマネジメントの運用には、その出発点として印刷を標準化する必要がある。例えば、印刷の標準化への取り組みとして、見た目による印刷から脱却して、数値管理によって印刷状態を把握し、印刷の刷り上り状態の均一化することが期待される。
また、印刷における色の問題には、以下の項目がある。
・人の感覚に依存する部分が多く表現が曖昧(あいまい)
・印刷の色再現を目視による勘と経験に頼っている
・印刷機は湿し水や印圧調整など、色再現に関わる変動要因が多い
・出力デバイスごとに色再現が異なる
以上のように、解決しなければならない課題は数多くある。
ある大阪の印刷会社では、標準印刷の基準値を目標にメンテナンスを維持し、印刷色の再現を数値管理している。そうすることによって、色に異常が発生したときに、すぐに発見でき解決にいち早く取り組むことができる。
また、DDCPやインクジェットプリンタなど、プルーフと印刷物の色が安定すれば、プリプレスにおけるレタッチ、色合わせもより容易になる。
現在、同印刷会社が提案している広色域印刷は、単体技術だけではなく、プリプレスから印刷まで総合的な技術によって実現できるものである。具体的には、標準印刷物を分光式測色装置で計測した色彩データから生成したICCプロファイルをもとに、36bit(12bit×RGB)から48bit(16bit×RGB)の階調豊富な画像データを分版し、より色域の広い印刷を実践することにより差別化を実現しクライアントから高い評価を得ている。
同時に、高精細印刷も手がけており、基準となる標準印刷物、プロファイル作成、画像処理、CTP出力、印刷へと、明確な数値データによる標準化された管理体制を目指している。
一般的にカラーマネジメントの技術が確立し、プロファイルという概念広く認められるようになった。使用されるプロファイルの精度は、色のマッチング精度に大きな影響を及ぼすものである。とくに、色のマッチングと階調再現とのバランスは、大切な要素となる。
一方、そのプロファイルを標準印刷状態で再現する。すなわち、変換に使ったプロファイルを有効利用するには、プロファイルを作成するときに印刷したチャートの印刷条件を再現しなければならない。そうした日常的に行われているプロファイル、カラーマネジメント技術が基盤にあることも忘れてはならない。
最後に実験段階ではあるが、分光画像を広色域印刷に利用することも視野に入ったきた。分光とは、連続したスペクトルの光を波長ごとにとりわけ、それぞれの波長の単色光にすることである。色を分光スペクトルで客観的に捉えれば、より正確な色を再現できるのである。RGB3原色を超えた分光スペクトルによる色再現の可能性が大きいことから、新たに提供され始めた6バンドカメラをもとに、6バンドの画像データを6色等の広色域印刷に展開する日も近いのではないだろうか。
■関連セミナー 「印刷における広色域色再現」(カラーマネジメントから見た広色域色再現と分光画像)
2007/10/18 00:00:00