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用紙流通の合理化問題を考える


2007年11月17日


用紙流通に係る諸問題

 用紙の流通や価格に焦点を当てた話題や動きが増えてきた。きっかけは資源価格高騰による価格上昇だが、用紙の流通各段階における歪みが炙り出されてきた感もある。用紙値上げによって、用紙代の変化による印刷会社経営への影響は確実に大きさを増した。
 用紙は生産過程において全業種で見ても有数の重油を消費する市況品であり、大規模投資による大型マシンを要する装置産業の産物でもある。そして製紙産業から印刷産業に至る商流は、わが国の産業構造においても重きをなす地位を占めているといってよい。もちろん印刷業にとっては最重要な被印刷体であるが、これほどの需給が日々発生していながら、その流通には疑問が多いとされる。
 例えば、価格が見えにくい、電話一本でやり取りされて証憑が残らない、アイテム40万種類は多過ぎる、流通構造が複雑、問屋の役割が明確でない、その結果、流通コストが高くなっている、などである。



大きさを増す用紙代値上げの影響

 2006年春から断続的に用紙が値上げされている。全印工連が毎年行う経営動向調査の結果によれば、中小印刷業にとって材料費は売上高の約23%を占め、材料費に占める用紙代の割合は約80%にのぼっている。
 内製化進展によって材料費比率が高まる一方、外注加工費比率は低下し続けてきた。近い将来において、印刷業にとって材料費が最大の製造経費にとって変わる可能性は極めて高い。
 印刷業の経常利益率は徐々に改善が進み、2006年は経常利益率が2000年以降で最高の4.0%となった(JAGAT印刷産業経営動向調査2007より)。損益改善は、固定費の増加を変動費の低減で吸収したことによって果たされてきた。多品種・少量・短納期に応えるための必要経費は、内製化による製造コスト削減によってもたらされてきたと言える。
 JAGAT印刷業定点観測アンケートによれば、2006年5月以降、16ヵ月連続で用紙仕入額の伸びが売上高の伸びを上回り続けている。2007年に入ってからはさらに両者の乖離が拡大し始めた。従来は数量の増加によって売上高の伸びを上回ってきたが、昨年からは単価上昇が要因に加わったことが原因と思われる。
 上述の損益構造を前提とすると、用紙単価が1%上昇した場合、印刷業の経常利益は▲3〜▲5%程度の引き下げ効果が働くと推量される。従来の「固定費の増加を内製化による変動費の低減で吸収する」損益改善モデルが通用しなくなってきている。ワンストップサービスなどへの新たな取り組みが必要とされているゆえんでもあろう。


紙卸商と印刷業数の密接な関係

 工業統計にもとづく印刷業の事業所数と、日本洋紙板紙卸商業組合(日紙商)の会員数を比較すると、この20年ほどは日紙商の卸商1社に対する印刷会社数はほぼ44前後で推移している。
 地域差はあろうが、全国平均で見た場合の相関は[卸1:44印刷会社]でほぼ不変に近い。卸商と印刷会社は極めて密接な関係にあるようだ。もしこの相関が不変であり、ビジネスモデルも変わらないとすれば、紙卸商の将来の姿は、印刷業の将来の姿から容易に想像がつく。
 問屋が果たすべき機能としては、一般に金融機能、倉庫機能、物流機能、情報機能が挙げられる。紙商においては、このうち立地に左右されやすい倉庫機能と物流機能の物理的機能へのウェイトが大きいがゆえに、印刷会社数によって卸商数が物理的に定義されやすい関係になっていると考えられる。物理的機能とは、印刷会社との距離や倉庫面積などの物理地理的条件に左右される機能である。
 しかし価格上昇によるデフレ終焉局面を迎えて、卸商には従来と別の機能に関する期待が高まっている。


価格と物流に関する課題

 インターネットによって地域間情報格差が縮小するに従い、市場価格情報の同報性が高まり、同時に卸商の競合が隣接県に及び、それをも超えて広域化を加速させているという。
 一方で顧客からの価格に対する不透明感は、縮む印刷市場において協業すべき印刷会社と卸商のチャネルを原始的ながら複雑なものにして、流通段階においてともに利益を追求する関係たりえなくなっている。
 Web-EDIに基づく受発注体制の構築、営業担当者の訪問頻度削減や効率化、一説には2.4か月分にも及ぶという流通在庫の最小限化などに双方で取り組み、コストダウンの果実を分け合うことが望ましい。
 紙・パルプの物流コストの売上高対比は全業種の中でも通販の次に高い水準との調査結果もある。メーカー・代理店も含めた用紙流通SCMの構築による効果は決して低くないであろう。

2007/11/17 00:00:00