ネット活用による利便性提供から顧客を開拓
ソリューションビジネス展開を目指して
同社は、顧客との継続的な信頼関係構築が企業発展の基盤であると考えている。そのために、印刷を核とする多彩なコミュニケーション事業によってソリューションビジネス展開を目指している。
そのような中で、デジタル印刷機を持つことは、いろいろな引き出しへの入り口として適していると考え、10年前にサイン・ディスプレイ印刷のために初めてデジタル印刷機を導入した。その後、巻き取り式のデジタル印刷機を導入、現在は、枚葉のカラーデジタル印刷機3台、モノクロ用を1台、さらに大判のインキジェットプリンター1台を保有している。
平版印刷と同等の価値的生産性
同社全体としては、充実した企画デザイン部門を持つともに、生産工程として、プリプレス、印刷、製本の一環生産体制を持っている。印刷設備は枚葉印刷機が10台30胴である。
このような体制の中で、デジタル印刷関連部門の売上高は全社売上の6〜7%を占めている。該当部門(クリエイティブ的な業務を伴わないデータの処理2名と、印刷、断裁、帳合、パネル張り、箱詰め、発送等の担当5名の計7名)の1人当たり売上高も全社の1人当たり平均水準にあり、デジタル印刷機をベースにしたビジネスとしてはうまく回っている方ではないだろうか。
いろいろな引き出しへの入り口になるデジタル印刷機
取扱い製品としては、大判プリンターでポスターや展示会パネルなどを扱い、他のデジタル印刷機は、名刺、絵葉書、パワーポイントのカラープリント、DM等、多様な製品を取り扱っている。また、販促物の場合、例えば最初に300部をデジタル印刷機で刷って配布して、それが効果的だとわかってから10000部を平版で印刷する、あるいは、顧客側の一つのイベントの中で発生するパワーポイントデータのプリントアウトとパネル作成を同時に受注するといったこともある。
デジタル印刷の部隊は、同社にとって「いろいろな引き出しへの入り口」と位置付けているとのことだが、確かにその役割を果たしているようだ。
ネット利用による利便性の提供
同社の一つの売り物は、ネットでデータを受け取り印刷する仕組みを提供することによって、印刷物発注に関わる顧客側の手間の削減を支援することである。当然、よりジャスト・イン・タイムに近い印刷物提供も可能になる。最初は、それが単一の印刷物の発注に使われるだけでも、その利便性を理解してもらうことで他の印刷物発注にも広げてもらうという狙いである。
この点に関して、技術面ではネットで送られてきたデータを自動組版、面付けシステムで処理してデジタル印刷機に流し込むことができるようになり、生産側のスピード、手間の点では大きなメリットになっている。ただし、細かな要望への対応と仕事の進行管理のためには、それなりの知識、経験を持った人間の介在は欠かせないという。
また、一つの製品の発注から入ってもらって、その他の製品・サービスに発注を拡大してもらうためには、企画部門が力を発揮することになるのだろう。
品質は最低の必要条件
10年前からデジタル印刷機を使ってきた同社だが、現在のカラーデジタル印刷機による印刷物品質は十分なレベルに来ていると見ている。もちろん、上記に掲げた例のように、デジタル印刷機での印刷とオフセット印刷機での印刷を組み合わせる仕事に対しては、両者のカラーマッチングをとるシステムの導入と管理は欠かせない。
同社の例ではないが、ある印刷物の大口ユーザーが、全国展開の店舗にカラープリンターを入れてプリント・オンデマンドで印刷することで、無駄になっていた膨大な印刷物を削減しようとしたとき、品質の「バラツキ」が大きな障害だったというが、品質はとにかく最低の必要条件になる。
コストも、A4のペラ物では、枚葉印刷機との比較において1000枚程度までデジタル印刷機の方が有利の場合もあるという。
如何にリピートの受注を確保するかが課題
バリアブル印刷の受注もしたことはあるが、画像のバリアブルの仕事は継続しなかった。固有名詞をさまざまな絵柄に差し込む印刷については、日本の文化的土壌から考えてどの程度受け入れるのか、また、リピート・オーダーがどの程度あるのか、簡単にはいかないのではという。One to Oneの仕事は、有効なデータを持っている顧客が少ないのでビジネスとして成り立つケースは少ない。クロスメディアの中にデジタル印刷を位置づけることは、スピード感の点で親和性が高いと考えている。
いずれにしても、とにかくリピート・オーダーが継続する仕事の確保が課題である。これ
デジタル印刷機を設備している企業の共通の悩みであろう、という。
(11月22日)
2007/11/23 00:00:00