本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

PAGE2008ハイライト

PAGE2008コンファレンスのグラフィックストラックで予定されているテーマの企画主旨を語り合った。

前回の記事

モニタ

郡司 モニタは一生懸命研究されてきている。今まで色域の話ばかりでモニタを見ていたが、ここにきてみると、LEDでいろいろ色域を工夫すると、随分ピュアな色域が出て、再現性が違うことが分かってきたり、いろいろある。今まで印刷業の人たちは、デバイスのことも一生懸命勉強して使ってきたので、モニタを真剣に理解したらいい。サムソンのLEDバックライトの開発者の話を聞いてみたい。

小笠原 LEDに関しては、これから先、一般照明、産業用照明も含めて、あるいはLEDそのもののいろいろな課題解決があって、大きく変化する。今後、こういう色再現の中で一番注目しておかなければいけないのはLEDと有機ELだろう。

郡司 色を出すことに関しては輝線のある光源の特性は熟知しておいたほうがいい。

デジタル印刷

小笠原 私はあまりオフセット印刷と比べてどうこうというのは興味がない。オフセットの立場から見る人は比較をするが、最終的には、例えば印刷物を納品した先で使う人、営業担当がカタログを持って行くとか、それを受け取る局面を考えれば、印刷側の言い分はあまり関係ない。 例えば営業担当が必要な時にすぐ使える道具としてデジタル印刷が出て、印刷会社に発注しなくても、自分でボタンを押せばできてしまう世界があれば、それはそれなりに普及してしまうだろう。

郡司 写真を自宅でプリントする「自分プリント」を宣伝しているが、やはり「お店プリント」が楽だから、みんなデジカメはお店でプリントでするようになる。

小笠原 現実に店舗のプリントサービスがなくなってはいない。例えば、写真を1枚選ぶだけなら自分でプリントして見るが、30人に配るならサービスを利用する。グラフィックのデバイスや使う機会が増えることによって、サービスがそれなりに広がっていくと思う。

郡司 そういうことも含めて、JAGATとしてはデジタル印刷のいろいろなトピックを真剣にPAGEや研究会で取り挙げようとしている。

小笠原 デジタル印刷の技術もまだまだ進歩はするだろうが、過去を考えれば随分良くなった。それをいかにサービスに結び付けるかという話をしていただきたいと思う。印刷品質の評価ではなく、サービスのメリットのほうである。

郡司 特にアメリカや一部のアジアで行っているようには、なかなか日本はいかない。確かに日本の印刷はきれいということもあるが。

小笠原 デジタル印刷は印刷物が調達できない局面でも使えるのが、一番いいはずである。今までは印刷物制作は何万部作るという前提で、コンテンツ作りもそれなりにお金を掛けて一生懸命行ってきたので、紙面を作って届けるのはかなりロングタームの仕事だった。しかし、情報誌のように商業印刷がもっとショートタームになってくると、デジタル印刷はより生きるのだろう。

郡司 単純にソフトウエアのリリースを考えても、今は取りあえず出してしまう。出してからリファインしてまともな商品にしていく。リビジョンがたくさんあって、知らず知らずにバージョンアップしているというふうに、プログラムがまともになっていく。

小笠原 某印刷会社が以前、ファッション関係のイベントの時に、撮った写真を電送して印刷し即座に会場で配ったことがある。今、そのたぐいのことは非常にしやすくなっている。 大連電塾では撮影からポスターまでをデモしたが、通常の印刷制作のタームとして見たら普段はできないかもしれないが、実際にできたのだから、できるとなると新たなビジネスやサービスを考えてもいいのではないか。

郡司 あのプロジェクトは、みんな手練れが参加したからできた。

小笠原 どこかで一回そういうチームのやり方に関して決めておけば、後はネット上で分散してもそういう作業ができる時代になってくると思う。

郡司 変な話だが、全然インフラがなくて、ディスクもなかったので、.MAC(ドットマック)を使ったりした。.MACのサーバがあるか分からないが、中国からやり取りして制作した。

小笠原 情報誌がショートタームで出るように、今まで商業印刷で行っていた分野も細かくしたビジネスや、デジタルプリント応用があり得るのではないか。タレントが出るイベントとしたら、良いショットが出たらそれに差し替えていくこともできる。

郡司 そういうのは、つくづく、今のソフトのあり方だと思う。どうやって儲けていくかで、セキュリティの考え方や、わざとコピーをフリーにしておいてバージョンアップで儲けるとか、いろいろな方法がある。印刷もそういうことを考えていくといいかもしれない。

小笠原 最終的にデジタルプリントが生きるものとして、ライブ印刷のような応用にいけば、絶対間違いない。

郡司 「デジタル印刷のことならJAGAT」と言われるように考えていきたい。

RAWデータ

郡司 去年はRAWデータについてグラフィックストラックで検証した。今度はRAWデータを印刷業界でどう扱うか取り上げたい。

小笠原 RAWのほうが良さそうだという雰囲気は出てきたが、真面目にRAWが考えられていない。

郡司 それならきちんとしてあげよう。何でそう思ったかと言うと、PhotoshopがCS3からJAGAT的に見てもまともなRAWデータが上がってきた。純正のRAWソフトを使わなくても、まともなものが使える。逆に言えば、2大メーカー以外のRAWソフトは、純正だとしてもそんなに良くない。それだったらPhotoshopのCS3かLightroomを使ってもいいだろう。

Apertureというソフトがけっこういい。この辺をしっかり啓蒙するのはJAGATが行うべきではないかと思った。このままだと昔のいいかげんな安い現像液を使って粗悪な現像をし始めるのではないかということもある。

小笠原 昔から考え方が2つある。ターゲットとなる出力に向けてRAWからいじり始めるのと、いったんこれから先のいろいろな加工を考えて一番いい状態にしておこうという考え方があると思う。

郡司 それと、カメラマンは取りあえずシャッターチャンスだけでいいのかという話と、カメラマンも「ここが自分の撮ったイメージだ」というのがある。それはそれで、その人はRAWでそういう軌跡を残せばいいと思う。「本当はローキーで撮った写真なのに、こんなに明るくしてしまって」とか、「雰囲気的には、このイメージはローキーなんだ」というのがない。

小笠原 「操作上の失敗や悪条件があったが、本当はこうだ」ということで直してしまうこともあるだろう。

郡司 RAW現像ソフトの中には、何でもかんでも記憶色だというが、どこが記憶色なんだというのもたくさんある。ど派手な色が出ればいいとするものもあるが、本来色というのは、絶対値が出ることよりも、色の調子が出るのが大事である。ところが調子など全くなくて、平網伏せではないかというような現像になるソフトもたくさんある。

小笠原 絵というのは、最終的には調子である。

郡司 ところが、現在出ているものは、空が平網になってしまうものが多い。その辺は、印刷の専門家や画像を扱っている専門家から見たら、空には空の調子がある。平網ではない。例えば「海の写真ならここがポイントだ」というのは分かる。調子がなくなると海と空の境の水平線が見えなくなってしまう。例えば、両方とも黄色をなくしてしまうと水平線がなくなってしまう。

小笠原 余計なお世話をするソフトが世の中にはあるということだ。

郡司 海には黄色はいるが空にはいらないなど、空の色はこちら側の色相で再現しなければいけないし、海はこちら側というのがある。必ずそういうものがあるわけだ。

(『JAGAT info』2007年11月号より)


関連情報:
PAGE2008サイト プレオープン(正式公開は12月10日(月)予定)

2007/12/05 00:00:00


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