旭化成ファーマサポート株式会社
旭化成グループで医薬品・医療事業を展開する旭化成ファーマ株式会社の子会社である旭化成ファーマサポート株式会社では、2007年5月にオンデマンド印刷事業(デジタル印刷事業)を立ち上げ、7月から業務を開始した。同社のオンデマンド印刷事業について、旭化成ファーマ総務部総務グループ(広報担当)部長太田ひろし氏、旭化成ファーマサポート管理グループ長兼オンデマンド印刷グループ長課長佐藤誠氏、同オンデマンドグループデザイン室長である小林啓司氏にお話を伺った。
事業立ち上げにあたっては、デジタル印刷機はコニカミノルタのON DEMAND PUBLISHER C65を導入した。また、断裁機、くるみ綴じができる製本機、折り機も設置して印刷から製本・加工までの一貫した生産体制を整えた。
スタッフは、それぞれに業務の役割を決めるのではなくて、データ管理、面付け作業などDTPオペレーションから印刷機、製本機のオペレーションまでをすべてのスタッフができるような体制にしている。これは、常時生産に携わるスタッフは4名となるので、複数の作業をこなせるようになることで、全体の工程が分かり、状況に応じてスムーズに作業を行えるようにということがある。
同社がON DEMAND PUBLISHER C65を選択したのは、まずは同社の求める印刷品質に合った再現ができることがポイントになった。また、インラインの山掛け中綴じ機能、特に本の厚さに合わせて中綴じ用の針金が調整されるので、きれいに仕上がることもポイントになった。
そのほか、メーカー側のバックアップ体制も、オンラインのリモートでモニタを行っているので、機械トラブルが起こった場合に、どこにどのような問題が起こっているのかを双方向でやり取りして、すぐに解決できるということがある。
現在、印刷品質についても非常に満足している。また、同社では事業所内は印刷評価用の照明環境も整え、カラーの品質維持のためにEFIのシステムを使い、定期的にモニタ、プリンタのキャリブレーションを行い、カラーマネジメントを実現している。
ネットワークやデータバックアップのシステム構成、構築、管理を担当しているのが、小林室長である。ちなみに同氏は営業開拓の部分も担当している。印刷は全く初めての事業なので、印刷用ソフトウエアやフォントの問題、パンフレットや冊子を作る時の面付け知識など、設備やスタッフの面でクリアすべきことは多かった。データ制作の環境は当初はWindowsベースで環境を構築していた。しかし、増し刷りなどでは古いデータのために、データが入稿してみたらソフトのバージョンやフォントと合わないなどの問題が出てきた。
「当初、データ制作の環境はWindowsベースで構築しまして、CS3を用意しましたが、いざデータ入稿されるとQuarkXPressのデータも多くて、そのほか、CIDフォントの問題などで、急きょQuarkXPressとMacintoshも導入しました。試行錯誤の中でシステムを構築していき、7月から実際に稼働を始めたのですが、9月からは、ほぼ運用が軌道に乗りました」(小林室長)
稼働までは、小林室長を始めスタッフが各種セミナーやスクールなどを利用してDTP、印刷知識の習得を図った。そこには、コニカミノルタ、アライアンス企業の協力があった。
同社では、基本的には印刷データ制作は行わない。従って、データは制作会社や印刷会社との協力によって彼らから入稿されることになる。既存の印刷会社や制作会社との関係で言えば、例えばカタログを例にすると、最初の制作や印刷はお願いして、改訂など増刷を行う時に制作会社からデータを受け取り同社で対応するというようなことである。同社にとっては、印刷会社、制作会社はアライアンスを組むことができるパートナーだと考えている。
そのほか、現在はラインが1台だけなので、需給やラインのトラブルに合わせて同社と同じ機械をもつ印刷会社との協力が不可欠である。そこで印刷会社2社とアライアンスを組んでいる。それらの会社には、事業立ち上げにあたって、面付けなどを含めた技術的な指導も協力してもらった。
「従来の印刷物でお付き合いのある印刷会社さんとは事業の面ではすみ分けができると考えています。もちろん、印刷物を制作するということでは、一部には競合するところもあるでしょうが、われわれは従来の印刷物の市場を侵食するというつもりはなく、狙っている印刷物のターゲットが違うと考えています。前述したようにこれまではニーズはあっても、埋もれていた印刷ニーズを新たに生み出したいと考えています」(太田氏)
(『プリンターズサークル』2007年12月号特集より一部抜粋・全文はデジタルプリントペコーナーに掲載)
プリントベターのデジタルプリントコーナーでは、デジタルプリントに関する技術・応用開発・運用面などに関する様々な情報を掲載していきます。
2008/01/18 00:00:00