ヨーイドンの前に足を踏み出すのはフライングというが、数年前に大規模なXML導入をするのはそのようなものであった。しかし今日ではXMLの環境は大きく変わって、メタデータを付与するといえばXMLという時代になりつつある。つまり数年前には極一部のツールしかなくて、足りないところを自力で作るか、あるいは内部はRDBなど既存の技術を使いながら、システム間をつなぐところだけXMLにするというように、XMLでかえってオーバーヘッドが増えるようなこともあった。
また自力でXMLツールを何か作るとなると、コストがかかるとか動作が遅いなど、いろいろ我慢すべきところがあった。それに比べるとXMLをネイティブに扱うアプリケーションも増えたし、さまざまなツールも手に入るようになった。今日ではOpenOfficeのようなフリーなものも含めてうまい組み合わせができると、かなり低経費でXMLのシステムを運用できる可能性も出てきた。しかし事前の調査やテストを考えると「うまい組み合わせ」ができるXMLエキスパートの絶対数はまだ少ない。
だからよほど予算があってXMLのコンサルタントをかかえられるのでなければ、システムをXMLに移行するにはツールの選択で迷うだろう。かといって、とりあえずいろんなタグをつけておけば後で役立つだろう、といった無目的のXML導入も意味がない。それよりはRDBに入れておく方が今は便利だからである。やはり今は今なりに少しでもXML化のメリットを認識して導入するべきである。それでも、小さく始めて大きく育てることができるスケーラビリティがXMLの特徴であるから、XMLをはじめるには早過ぎない時代になったといえる。
今まで「素材」をDAMで管理することと、サーバでの自動組版、それらのコントロールをWeb経由で行うことをしようとすると、個々の要素はあってもインタフェース技術に手間取っていたのが、XMLとインターネットという組み合わせがインフラ化してしまうなら、非常にやりやすくなる。前述のようにこれらの要素は何度も話題になりながら、いまいちブレイクしなかったものだが、今はそれぞれにXMLベースのものが出現し始めている。これは大きな時代の変化であるといえる。
XMLの取組みは世界的な流れなので、海外のツールも使えるようになるとか、システム開発やデータのタグつけなど仕事の一部を海外に出すことも盛んになるだろう。このようなグローバルな取組みができると、処理可能な仕事のスケールはずっと大きくできる。実はインドや中国のオフショア業者はそいういったことを狙っていて、初期投資が大きいがERPのシステム構築のノウハウを身に着けて、海外の大口顧客を獲得するというビジネスに参入している。
今まだ彼らは日本のパブリッシングには着目していないが、その制作に参入しようと思えばできる時代は近づいている。そことタイアップする手もあるし、逆にそこから学ばせてもらう手もある。いずれにせよそろそろ着手しないと、ブレイクしてからでは手遅れである。
テキスト&グラフィックス研究会 会報 Text&Graphics 2007年10月号より
2008/02/17 00:00:00