来年のことを言うと鬼が笑うというが、去年のこととなってしまったので鬼も笑わなくなってしまったが、2007年12月1日にAppleのセミナー会場で行われたMD研究会プレゼンツのワークフローセミナーについて報告する。今後電塾ホームページとのリンクを深めるためもあり、今回がリンクテストでもある。マスター郡司の「今更聞けない・・・カラマネ」連載の副読本としてご参照いただきたい。
ワークフローセッションはいつものように盛りだくさんだが、まずは分光スペクトル色再現の話題を簡単に取り上げた。図1はカメラ前に取り付けるNTTデータが開発した特殊フィルタを郡司が説明しているところである。図2はNTTデータの橋本博士が分光色再現の原理を説明しているところだが、後ろにいるのがSAMSUNG電子本社(韓国水原)のLEDバックライトモニタの開発者であるChoi Chris氏(マイクを持つ橋本博士の直ぐ横、そのとなりは通訳係の文=ムンさん)である。この説明はPAGE2008の広色域実験の布石として行われたものであり、説明は簡単であっても内容的には高度なものであることは言うまでも無い。


次は文字通りワークフローのエキスを上原ゼンジ氏から説明いただいたのだが、「責任の持てるRGBデータをカメラマンは入稿すべし」ということにつきる内容だった。図3のように真のAdobe RGBデータ(しっかり中身も充満している)でしっかりプロファイルを添付することである。撮影したRGBデータにプロファイルを添付することは常識だが、印刷する場合に標準印刷フォーマットに従うのも常識である。印刷業界では「自社印刷基準くらいは各社で用意すること」というのが良いことのように吹聴されているが、もし自分が印刷発注者だったら「勝手な自社標準などで印刷されたくない」と思う方が自然だろう。北米のようにSWOP基準で印刷というように標準印刷が印刷ターゲットになっていく方がはるかに自然である。これは原則である。

次に原則とは相反することなのだが、Japan Color 2001にしても本来の印刷基準とICCプロファイルは別物である。しかしPhotoshop添付のプロファイルが広く普及し、印刷基準の前にプロファイルありき的な風潮が生まれているが、ICCプロファイルがしっかりしていれば、印刷標準化のためにはプラスになると考えられる。逆説ではあるが結果的に良い方向に向かうものであると思う。

最後は世界有数のICCプロファイラーである庄司正幸氏から最近の注意点に触れていただいた。まずはInDesignでバラバラのプロファイルが埋め込まれている場合、そのバラバラのプロファイルはCMSがONの場合は図4のように反映される。左上がAdobe RGB、左下がNewsPaper、右はCMYKだが、カラマネが効いているのは分ると思う。しかし通常のRIP設定の場合はカラマネが無視されるので、結果はおかしなこととなってしまうし、カラマネがONだったとしても新聞基準と枚葉基準が混在することなど元々おかしいことなのである。PDF/X-1a的な「まず印刷基準ありき」が正論であることには皆さんも異論が無いと思う。 また最近の流行であるのか?マットコート紙を使用する場合が増えているようだ。この場合、図5のようにPhotoshop付属のUncoatedを使う人をしばしば眼にする。このUncoatedはマットではなく上質紙のことである。図6をご覧いただきたい。白いラインがUncoatedの印刷色域だが狭いのがお分かりいただけると思う。マットコートの場合もCoatedを使用していただきたい。


最後が上原ゼンジさんのキッチュレンズ本のメイキング物語だ。最近は上記のようにマットコートやファンシー系の紙が好まれるようだが、美しい印刷のためにはアート紙の使用をお願いしたいところだが、そうばかりも言っていられないので話を続ける。雷鳥社刊の上原ゼンジ著「カメラプラス」も(残念ながら?)アート紙ではなく嵩百合という独特な紙が使用された。図7を見れば一目瞭然、紙の白さ?が分ると思う。白と言うよりはクリーム色の紙なのだ。常々標準印刷基準と言い続けてはいるが、ここまでクリームだとCMS的には難しい。Cの点を置いても緑色、新聞で言えばファイナンシャルタイムスのオレンジペーパーをCMSするようなものである。ガタガタ言っていても始まらないので専用プロファイルで運用することとして、アッサリかたがついたという話なのだが、嵩百合の再現域を図8に示しているがJapan Colorに対しても大分小さいのが分ると思う。こうなったら専用プロファイルの方がずっと早いのはご理解いただきたい。


(2008年2月 郡司秀明)
2008/02/14 00:00:00