印刷業界では多くの企業が自動組版レイアウトに取り組んできたが、そのシステム構築には手法や手本が確立しておらず、担当者の経験やレベルによって左右される傾向がある。結果的に費用が高価となることや運用が進まない場合もある。
DBパブリッシングに関する共通認識やフレームワークを整理し、ガイドラインを作成することで、導入促進や人材育成を図ることができないか。テキスト&グラフィックス研究会では、ベンダーや印刷会社で自動組版レイアウトに関わっているエキスパートの方々とディスカッションをおこなった。
■自動組版の課題と標準手法の意義
カタログ・チラシ、旅行パンフレット、情報誌・フリーペーパー等や定型的な書籍、辞書・法令集や番組表、時刻表などは、DBパブリッシング・自動組版によって製作されている。レイアウトパターンを登録し、パターンにしたがって判断組する方式や基本テンプレートを登録する方式などがある。
しかし、データベースの項目設定やデザインのルール化など、関係者の理解度に差があることやカスタマイズ比率が高いことなど、基準や共通認識がないことから生じる問題も少なくない。
DBパブリッシングを構築する際の検討項目には、主に次のものがある。
まず、データベースの内容、項目や属性をどうするか。データ入力は、いつ誰がおこない、校正・チェックを誰がどのようにおこなうか。文字コードやデータの正規化ルールをどうするか。レイアウトパターンやテンプレートをどうするか。判断組みや自動調整ルールをどのように設定するか。
多くの方は、経験から学んで、これらを整理しているのではないか。少数のエキスパートに限定されているのではないか。
標準手法を確立することによって、DBパブリッシングに関する知識や課題の共有、また、担当者教育・レベルアップを進めることができる。結果的にレイアウトパターンやルールの設定、データベース設計などの最適化が進むのではないか。
また、ミスや事故の防止、品質向上を実現できる。さらに、合理的な設計によってカスタマイズを少なくし、開発費低減、最終的には市場拡大が期待できる。さらに、データベースが整備されてくると、Web関連のシステムと連携することも可能となる。
JAGATでは、今後、委員会などを設立し、検討を進めたいと考えている。
ガイドブックやガイドラインとして、まとめていきたいと考えている。それによって、顧客や開発関連、営業担当の方とも、知識・課題を共有していくことができる。そのような形でまとめたものを、テキスト&グラフィックス研究会、あるいはPAGEコンファレンスで発信していきたい。
■標準手法についての議論
パネルディスカッションにおいて、共同印刷の守屋氏は、商品カタログや製品カタログ分野のDBパブリッシングの導入が進まない要因として、データベース設計の難しさとテンプレート作成の難しさを挙げた。体系化や標準化を検討したこともあるが、結局は経験者に依存しているとのことである。
日立インターメディクスの長浜氏は、自動組版やデータベースは各社のノウハウや強みであり、標準化は困難である。しかし、ガイドライン的なものは必要であると述べた。
デジタルアドサービスの松田氏も、自動組版のコンサルテーションのガイドラインを作るのは非常に意義のあることだと述べた。
■人材教育の必要性
守屋氏によると、データベースや自動組版の設計やシステム構築の難しい部分を担う人材は、現実的に不足しており、育成しなければならないと言う問題を抱えているという。
松田氏は、自動組版は技術の課題ではなく営業的な課題であるとし、データのことが判る、顧客と話ができる人材は採用も育成も難しく、困っているとのことであった。
(この続きは、テキスト&グラフィックス研究会会報誌 Text & Graphics No.266に掲載)
2008年5月
2008/05/21 00:00:00