本書の性格
本書は、2007年度調査で第30回を数える「JAGAT印刷産業経営力調査」に基づく報告書である。損益計算書や貸借対照表はもちろん、印刷設備、DTP環境や戦略、設備投資意欲など、印刷会社経営の現在を浮き彫りにしようと試みている。
150社を超える印刷会社のデータから、経営者や管理職を始め、経営計画策定に携わるスタッフを対象に、最新データに基づく客観的な印刷会社経営データや傾向、各社の設備動向などを提示、経営計画策定や自社の客観評価,戦略意思決定の参考になることを目指し、著編されている。
本書の特徴
調査対象は非上場印刷会社を中心とし、データは印刷会社経営に即して地域別・規模別・業種別・オフ輪有無別にカテゴライズされている。設備保有率と満足度、DTP環境についても調査分析結果を掲載するほか、印刷会社の経営戦略についても分析を試みている。
本書から見る2007年度印刷会社の経営概況
2007年度印刷会社の売上高前年比は100.5%と3年連続のプラス成長ながら、経常利益率は再び3%台へ低下して、資材料価格高騰の影響が現れ始めた。最大構成を占める商業印刷は堅調を維持、包装・特殊印刷は4年連続のプラス成長と好調だ。総合印刷の売上高伸び率は2001年以来のプラスに転じているが、出版印刷は依然として苦戦を強いられている。
P/Lに占める設備費比率は2年連続で上昇し、B/Sに占める機械装置比率も2年連続で上昇した。1人当たり機械装置額は2001年に次ぐ水準となり、近年続いてきた投資を手控えて縮小均衡で利益を出していくような経営姿勢からの脱却傾向が鮮明だ。
従業員の平均年齢は38歳台とさらに高齢化が進展する反面、1人当たり人件費の低下が見られるなど、投資の対象は人的資源よりも設備に向かう傾向が強いようだ。
調査時期は、年初からの株安と再生紙偽装問題で揺れた2008年2月だったにも関わらず、経営スタンスには「拡大再生産」を挙げた経営者が最多だった。また、設備投資意向は「前期より増やす」が4割弱、「前期より減らす」が約16%と、設備投資に前向きだ。
強化したい工程のトップは「Web制作」、「印刷工程」が続く。枚葉印刷機は多胴化、CTPは保有率が80%超、デジタル印刷機の取得が急速に進んでいるなどの特徴が見られる。
印刷会社は景気回復を背景に縮小均衡から脱し、成長性を獲得しようと前に出た途端、サブプライムローン問題に端を発した景気減速と諸資材高騰という難問に直面した。現在迎えつつある物価上昇時代では、成長性の獲得によるコスト吸収策の必要性が急速に高まってこよう。時代のパラダイムは大きく変化しつつあり、状況が変われば経営スタンスの転換も不可欠だ。今後、印刷会社経営はどのような方向に向かうべきかを考えるとき、豊富なデータに基づいた本書は考察の一助となる。
[データ]
タイトル : 「JAGAT 印刷産業経営動向調査 2008」
2007年度印刷産業経営力調査報告書
編著 : JAGAT研究調査部
判型 : A4判
頁数 : 100ページ
発行 : 社団法人日本印刷技術協会
価格 : 一般=10,000円,JAGAT会員特別価格=5,000円(ともに税込価格)
※調査回答企業には1冊無償進呈しています。
※JAGAT BOOK STORE
2008/07/02 00:00:00