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大混乱の前兆、深刻なオフ輪不況の2007年印刷業界

2007年の印刷産業出荷額は対前年比△0.7%程度の若干のマイナス成長で、出荷額は7兆円の大台を割り込んだようだ。ただし、印刷物需要や印刷の仕事量は1.5%増となり、プラス成長に転じた。JAGATが予測したとおり、印刷業界最大の不振要因であったプリプレスの付加価値低下に歯止めが掛かったからである。

最大の問題は収益性の急激な低下である。上場企業では、その売上が4.1%伸びる中で営業利益14%減の増収減益であった。中小印刷業の売上は水面すれすれで不安定な推移が続いている。収益性は2004年度までは営業利益率3%台を維持していたが、2005年度には2.7%になり2006年度は2.1%にまで低下した。2007年度は用紙値上げの影響と更なる価格低下で1%台に落ちた可能性が大きい。供給力過剰による価格低下に一層拍車がかかる一方、用紙価格上昇が加わった。

ますます苦しくなる出版経営

市場に目を転じると、出版市場は2007年も3.1%減で3年連続のマイナス成長になった。 書籍分野では、ネットや携帯普及によるマイナス影響には歯止めが掛かったが、最近の売れ筋は廉価本が主体で出版経営をさらに圧迫している。また、その内容を見ると、それらが今後の市場のしっかりした基盤となるとは必ずしも言えないものである。雑誌は、ネットの影響、少子化、そして読者の購読習慣の変化によって10年連続のマイナス成長を続けており、まだまだ底が見えない。長期にわたる不振で2007年の雑誌休刊数は51点増の218点、過去最多となった。
利益の源泉であった雑誌の不振が続き、低価格本を出さざるを得なくなって、出版経営は相当に苦しくなっている。

クロスメディア手法が定着した広告市場

広告市場はGDPの伸びを背景に、2007年の広告費前年比はほぼ1%増になった。4年連続の増加だが、伸び率は2004年の3.0%増から、2.9%、1.7%、1.1%と鈍化している。理由は明らかで、マス4媒体市場が2005年以降3年連続でマイナス成長になったからである。それも4媒体全てがマイナスである。その理由も明確で、インターネットへのシフトによるものである。チラシ、DM、フリーペーパー、交通広告、屋外広告を含むプロモーションメディアは1.1%の伸びになったが、伸び率は、2005年の3.6%増から3.0%増、そして2007年の1.1%と鈍化している。この間、インターネット広告費は年率20%を超える勢いで伸び、2007年には6003億円で、テレビ、新聞、チラシに次ぐ第4位の広告媒体になった。
上記の動き全体を総括すれば、「費用対効果の重視やクロスメディア手法が定着しつつある」(電通総研「日本の広告費」)ということになる。

相次ぐ牽引役の停滞

2007年、印刷産業の収益性は大きく低下した。プリプレスの付加価値低下には歯止めが掛かったが、供給力過剰がさらに拡大したからである。それは、需要サイド、供給サイドの両側からの圧力によるものである。そして、その震源地はオフ輪市場にある。
需要サイドではチラシ市場が2%減になった。いままで牽引役であった遊戯娯楽分野のチラシが、市場自体の成熟化の中でパチンコの規制強化に伴う出稿減となったことが大きい。この数年、オフ輪市場の大きな牽引役であったフリーペーパーは、2007年秋10月以降ほとんど横ばいになった。既に100億部も発行されており大きな踊り場にきた。
ここ10年間のもうひとつの市場の牽引役はDMだが、この市場も急速に伸びが鈍化した。

崩れたオフ輪経営の常道

印刷産業の供給力過剰は、バブル崩壊直後から安値受注の形で表に現れるようになり、以降、継続的な価格低下をもたらしてきた。オフ輪の生産能力は過去20年間、多少の波はあるものの年平均7%で伸び20年間で4倍にもなり、現在では、平版印刷市場の70%をカバーするまでの支配力を高めてきた。これに対して、需要サイドにおいては通販カタログやチラシ需要が増加し、ここ数年ではフリーペーパーの急拡大によって供給力増加の状況を見えにくくしていた。しかし、上記のようにその主力市場が2007年になってマイナス成長あるいは停滞に入ったことで需給バランスが急激に悪化した。

オフ輪の商売の基本は、「値段は安いほど儲かる!」というものであり、それは2000年当りまで立派に通用した。そして、それ自体が需要を喚起した面もある。しかし、ワンパス1円と言われはじめたころからこの前提が成り立たない価格水準に突入してしまった。そして、需要側の伸びが止まってみて、既に片足が崖ふちの外に出てしまっている状況を否が応でも認めざるを得なくなったのが2007年である。
2008年、印刷業界は過去にない大きな混乱を目にせざるを得ないのではないだろうか。

来る6月24日、恒例のJAGAT大会を東京、文京区の椿山荘で開催する。 JAGATからは、「印刷白書2008」にもとに、印刷産業、印刷市場の状況報告と印刷企業が取り組むべき課題を提言する。

(2008年6月)

2008/06/19 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会