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drupaレポート2(シール・ラベル、ワイドフォーマット、ハイブリッド印刷機)

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3.インクジェットデジタル印刷機(つづき)

(3)シール・ラベル用デジタル印刷機
drupaではシール・ラベル印刷市場に向けたデジタル印刷機が、参考出品、新製品を含めて多くの出店が行われた。

○EFI Jetrion 4000 UV インクジェットシステム
EFIがモノクロ機に続いて投入したフルカラーのシール・ラベル用デジタルラベル印刷である。最大5万枚までのラベル印刷を、トナーベースのデジタル印刷機に代わる手頃な価格で提供するという。Fiery XF RIPおよびOneFlowソフトウェアが組み込まれている。主な仕様は、最大13.9 cm(5.5インチ)幅のフルカラーのラベルを1000 dpiを超える解像度で最高30.5メートル/分で印刷で、UV4000インクセットはさまざまなメディアに優れた色再現を発揮する。

○ミマキエンジニアリング
参考出品としてシングルパス方式UV 硬化インクジェットプリンタIPH-300-Lが展示された。プリント幅30cm のUV 硬化インクジェットプリンタ:IPH-300-L は,シングルパス方式を採用したラベル印刷用の高速フルカラープリンタです。最高1,200 x 600dpi の高解像度と4 階調のバリアブルドットを採用,また高速でバリアブルデータを処理するコントロールシステムも用意し,高画質のフルカラーバリアブル印刷を実現する。

○ミヤコシ MUP20V UVインクジェットプリンタ
ビジネスフォーム印刷機やトランスプロモのM600などのミヤコシであるが、新たな市場としてシール・ラベル向けのUVインクジェット方式のMUP20V UVインクジェットプリンタを参考出品した。

○大日本スクリーンのシール・ラベル機(参考出品)
UVインキによるシール・ラベル向けのインクジェット印刷機を参考出品した。

(4)ワイドフォーマット
今までは屋外のビルボードなどと大型の広告はスクリーン印刷されていたが、最近ではワイドフォーマットのデジタル印刷機に置き換わってきている。また屋外広告では遠距離で見る用途なので出力解像度も以前であれば50dpi程度と低いものでよかった。しかし最近では店舗内の装飾や販促印刷物に大判出力物を利用する用途開発である。また、一品生産のテキスタイルや壁紙、またボードなどの硬い素材への直接印刷などの用途が拡大してきた。これらの出力物は屋内であるために至近距離から見ることになるので、1000dpi以上の高解像出力できるような機種が揃ってきた。さらに産業用途では厚物硬質素材に2500dpiレベルの機種も登場した。

○SCREEN Truepress Jet2500UV
大日本スクリーンからdrupa2008直前に正式発売されたサイン&ディスプレー向けであり、UVインクによるインクジェット方式である。1台ではロール紙への印刷、もう1台で厚地素材のボードに印刷するライブデモを行っていた。

○HP Designjet L65500(ラテックスインク)
HPの大判インクジェット印刷機のインクの種類は溶剤(ソルベント)、水性、UVに大別されるが、HPでは第4の方式とも言うべき、ラテックスをベースにしたインクを開発した。店舗の内装材やバナーなどの軟質素材への印刷ではインクにも柔軟性が要求され、溶剤系インクが多用されてきた。ラテックスインクの存在は知られていたが実用化開発へのハードルの高さから、多くのメーカーが製品化は難しいと考えていた経緯がある。しかし屋内用途では防火性能をより高めるなどの必要もあり、溶剤系インクとの置き換えという意味で、ラテックスをベースにしたインクへの期待は大きい。印刷面の柔軟性や耐摩擦性は溶剤系と同等であることを示すサンプルや、濡れ布巾でサンプル印刷物の表面を擦って試せるデモを行ない完成度の高さを強調していた。

○EFI VUTEk
EFIのVUTEk DSシリーズは、幅広いスーパーワイドフォーマットのデジタルインクジェットプリンタを自社のFiery XF RIPで稼動させた。

○Screen Truepress Jet650UV
大日本スクリーンの産業用途向けに開発した厚物硬質素材用のUVインクジェット印刷機で、従来はスクリーン印刷やパッド印刷の用途をデジタル印刷機で実現するものである。従来の印刷方式では得られなかったようなきれいなグラデーション仕上げができる特徴がある。自動車用インパネをはじめ、カード印刷、サンプル用ダミー缶などのサンプルも展示されていた。

(5)ハイブリッド印刷機
有版印刷機と無版印刷機の組み合わせた印刷機で、コダックはミューラーマルティーニのオフ輪にはStreamインクジェットを搭載したモデルと、東京機械の新聞輪転機にDSシリーズのインクジェットヘッドを搭載し、トランスプロモと新聞印刷におけるハイブリッド印刷のデモを行った。

○Kodak Streamハイブリッド印刷機(参考出品)
コダックのStreamハイブリッド印刷機であるが、ミューラーマルティーニのオフ輪にStreamヘッドを備えたユニットを追加した形のハイブリッド印刷機を参考出品した。デモでは、はじめにオフ輪部で固定データを4色印刷後、VDP(バリアブル データ プリンティング)を解像度600 dpiの画像品質でありながら、300m/分という高速で出力していた。

○Color Top MINI+Versamark DS6250
東京機械製作所で行われたハイブリッド印刷機は、Color Top MINI(2×1セミコマーシャルオフセット輪転機)にコダック Versamark DS6250ヘッドを搭載して、毎分900mという高速で新聞印刷と同時に青色のモノクロ文字をデジタル出力する実演を行ない、新聞業界の注目を集めていた。

2008/06/20 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会