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新聞が変わる、新聞業界が変わる


2008年9月21日


新聞が変わる、新聞業界が変わる

 新聞業界が大変革期を迎えている。2007年秋には朝日・日経・読売の提携発表があり、2008年に入ってからは大文字化と56年ぶりの12段化といった紙面改革があった。海外ではロイターがトムソンを買収、ダウ・ジョーンズがニューズコープの買収に合意した。昨秋からの1年足らずでこれだけの出来事が起きている。
 電通の推計による2007年新聞の広告費は9,462億円で、毎年約300億円ペースで減少し、10年前から約3,100億円減少した。日本の新聞社の収入モデルは販売6、広告4だが、欧米、特に米国は広告が収入の8割を占めるので、広告収入の減少は直接に新聞社経営を揺るがして変革を迫っている。
 メディアの多様化は、新聞をマスメディアからミドルメディアへ変化させつつあるが、さらに将来的にはパーソナルメディアへの移行も見込まれる。このような新聞を取り巻く環境変化を背景に、新聞業界各社のスタンスは競争から協調へシフトし始めた。日本におけるその象徴例が、朝日・日経・読売の3社提携によるWebサイト「あらたにす」の立ち上げと言えよう。


欧米における新聞社の動向

 欧米の新聞社は、新聞以外にWebや放送、雑誌なども活用するマルチチャンネル発信への取り組みを活発化させ、出版物や商業宣伝物も含めたハイブリッド印刷へも積極的に進出し始めている。
 新聞社はメディアラインナップの増加に従い、情報を24時間365日連続発信する動きを強め、情報を媒体ごとに迅速に加工する必要性が高まった。そこで、従来は分離されていた紙とWebの編集局を統合するほか、いわゆるデスクを中央に配置し、集まった各種情報を各種メディア制作スタッフと即時連携して処理できるニューズルーム改革が活発化している。
 省資源の視点から新聞紙面のコンパクト化が進み、同時に輪転機の小型化も進んだ。 紙面の作り方も変化する。米国新聞協会は、従来は読者より一段高い視点からの「News as a Lecture」だったが、今後は読者と同じ視点でコミュニケーションする「News as a Conversation」への変化を示唆している。世界新聞協会は、今後さらに多様な情報を取り込むことによる「雑誌化」を新聞業界に提言しているという。


国内新聞社の取り組み

 広告収入減少の影響は欧米より小さい日本の新聞業界だが、「あらたにす」以外にも朝日新聞・日刊工業新聞・時事通信社の連携によるWebサイト「キジサク」の開設、共同通信社と47地方紙の出資による「全国新聞ネット」の設立といった連携がある。
2006年11月には若年層向けの日刊紙「SANKEI EXPRESS」が創刊され、高知新聞社は病院のベッドサイド端末へ記事を配信する電子新聞の試みも始めた。日経が開発している電子新聞は、パソコンではなくテレビで見せることを意識している。
 中国では2006年が電子新聞元年とされるほど普及が目覚しく、80新聞社、200媒体が既にサービスインした。日米欧でも電子新聞配信は実証実験を終えつつある。新聞業界が新たな動きで新領域を拓いていこうとしている。

プリンティング・マーケティング研究会
2008年6月30日セミナー「新聞業界の現在と展望」より

2008/09/21 00:00:00