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チラシ制作から、販促ワークフローへ向かう

小売業の販促ワークフロー管理に注目

1999年12月のテキスト&グラフィックス研究会ミーティングにおける方正(株)管祥紅氏のお話から,チラシ制作の考え方を要約,報告する。

方正はコンテンツ制作とコンテンツ管理,およびワークフロー管理のソリューションを提供している。コンテンツ制作はDTP,コンテンツ管理はデータベースがキーワードなのはいうまでもない。ワークフロー管理は日本ではあまりなじみがないが,DTP化やデータベース化の次には必ずワークフローの管理がターゲットになるだろう。これは,仕事の流れをビジュアルで定義して,グループウエア的発想で制作現場を管理するということである。つまり仕事の流れを把握し,それに必要な作業を確定し,人間がどのポジションでどんな権限と責任をもつかを定義して仕事を流すシステムを作ることだ。方正では新聞のワークフロー管理システムは既に実現しており,今後は小売業の販促ワークフロー管理を考えている。

チラシの効果をどう考えるか

販促といえばチラシである。チラシを作る目的は集客による売り上げの向上である。売り上げに結びつかなければ販促の意味はない。例えば売上高が2000億円でチラシに10〜20億円かけているが,その効果がわからないという経営者が少なくない。最悪の場合は20億円まるまる損金として計算しているほどだ。チラシが有効なら毎日でもチラシを打つが,効果がないならやめたいというのが大方のクライアントの意向であろう。チラシの効果を測定する必要がある。また,経営者と話していると経営的には店舗に権限委譲していきたいという傾向がある。つまり,本社側から指示を出しても指示した人間が責任をもたないなら,店舗の人間に権限を与える必要がある。

このような課題を解決するためには,デジタル化して情報がやりとりできるシステムを作らなければならない。商品部,販促部,情報システム部など多部門の縦割りのワークフローを横の連携にするためにもデジタル化して情報共有する必要がある。それに,そもそもチラシは,価格競争ではなくて,顧客を買う気にさせるように作らなければならない。こうしたいろいろな要素を考慮したトータルな提案をしなければ,クライアントはどうすればよいかわからないままである。

一方でインターネットによる売り上げは急速に伸びている。通産省の予測ではインターネットによる商取引は今後5年間で50倍に伸びるという。だからチラシだけではなく,インターネットも含めた複数の販売促進方法のそれぞれの効果を測定して,コスト削減に焦点を当てたシステムを考える必要がある。チラシだけを考えてシステム構築してもクライアントの要望には応えられないのである。

FounderFITのユーザ事例

FounderFITはフルデジタルでチラシを作るシステムである。その導入事例をいくつか紹介してチラシ制作の現状を考えてみたい。

A社は内製化にあたって導入したが,同時にMacも保険として導入した。FITは新入社員が担当しているが使い勝手がよいと評価されている。制作のデジタル化に続いてコンテンツ管理,さらにワークフロー管理にも目を向け,既に方正のデータベース管理システムの導入を進めている。A社がもっとも評価しているのは,とにかくすぐに出るようになった点だ。同時に品質も上がったという。

1999年にバージョン2.0から導入したB社は写植からの変更である。関連会社も含めて20台使っているが,さらに40台に増やす予定がある。B社はFIT導入によってデジタル化を実現し,次の課題はデータ管理,さらにその次は顧客とのやりとり,すなわちワークフローを整備したいという話が出ている。出力はScitex Brisqueを使い,FITの出力は安定している。導入にあたってMacを使っていた人の抵抗が強く,逆に写植をやっていた人はすんなり受け入れてくれた。

T社は,A社,B社よりさらに先進的な会社で,既にデータベースも導入しており,その中でMacDTPに限界を感じてWindowsを検討し,その結果FITを導入した。現在では20台入れている。かくてデータベースによるコンテンツ管理と制作のデジタル化が済んだところで,次はデータベースと制作ツールのシームレスな連携が課題となり,方正から提案を行っている。

カーセンサーにみるワークフロー管理

『カーセンサー』はリクルートの中古車情報誌で,各地域版で膨大な画像とページ数を扱うためのシステムを構築している(詳細は本誌1999年3月号「情報誌『カーセンサー』のシステムとワークフロー」参照)。その制作方法はチラシにも応用できる部分が多い。どちらも大規模データベースとの連動がポイントで,職人的なデザインワークや単発的な仕事ではなく,ある程度のボリュームがあって,繰り返し入ってきたり,使い回しが発生する仕事が対象である。

『カーセンサー』ではデータベースを使ってデータを管理すると同時に,データベース自体がワークフローの土台である。データベース上にワークフローを打ち立てることでデータベースエンジンによるワークフロー管理が行える。インターネット販売ではWebへのデータ供給がネックだが,それにはチラシだ,印刷だ,インターネットだという個別対策ではなくトータルにクライアント側の販促ニーズを把握してソリューションを作る必要がある。それが『カーセンサー』で成功しているのである。

チラシ制作の課題と対応

販促の効果測定をするには,例えばチラシに1億円かければ売り上げが1億2000万円増加するというような予測が必要だが,予測のための根拠がないのが実状である。また,POP,POS,Web,カタログ,チラシという媒体間での統一が難しい。それから品揃えについては小売店の権限と販促企画の間の意思統一の問題がある。こういう課題に対してどう対応すればよいだろうか。

方正としては,まずデータベースを中心に物事を考えることが第1と考える。また商品データそのものについて,すべてパターン化して自動化することは考えていない。いかに人間の作業を楽にするかということを中心にツールを開発している。

データベースを整備すれば,あとはワークフローの整備である。販促企画部で立てた計画がデータベースに収納され,その計画に従って商品部が商品を選ぶ。選んだ商品がまたデータベースに登録管理されて皆が見ることができる。それによって仕入れの必要があれば仕入れをする。また,データベースからパターンを変えてPOPやWebのためのソースデータとして使う。

このようなリンケージを保って販促の情報をすべてデータベース中心にすれば,そこで扱うデータはデータマイニングの素材にもなる。つまりデータベースを整備することによって効果を測定できるようになるのだ。小売業は逐次投資してデータマイニングをやっているが,その対象となるデータが少ない。そこのところを印刷業界が提案できるようになれば小売業でデータ分析するための対象も広がる。
(テキスト&グラフィックス研究会)

2000/02/28 00:00:00


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