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ポイント・システムの由来-欧文フォントと組版(2)

欧米ではポイント・システムが実施されるまでは、活字の大きさを表す名称に宝石やその他の名前を取り入れていた。ポイントと旧呼称(かっこ内)は次の通り。

3 ポイント(excelsior)

3.5ポイント(brilliant)

4.5ポイント(diamond)

5 ポイント(pearl)

5.5ポイント(agate)米──スモールパイカの2分の1

     (ruby=ルビー)英──「ふりかな」用の「ルビ」の語源

6 ポイント(nonpareil)

6.5ポイント(minionette)米

     (emerald)英

7 ポイント(minion)

8 ポイント(brevier)

9 ポイント(bourgeois)

10 ポイント(long primer)

11 ポイント(small pica=スモールパイカ)

12 ポイント(pica=パイカ)

14 ポイント(english)

16 ポイント(columbian)

18 ポイント(great primer)

20 ポイント(paragon)

48 ポイント(canon)

ポイント・システムとは、活字や込め物などの大きさをポイントの単位で表すシステムをいう。18世紀初頭まで、欧文活字には大きさを表す一定の単位がなく、上記のように大小の活字に名称をつけて区別していた。そのため倍数関係が判りにくく不便であった。

活字の大きさの単位は、1737年にフランスのフールニエが提唱したもので、1ポイントを0.348mmとした。ところが1770年にディドーが、これを改めて1ポイントを0.3759mmとした。これはヨーロッパ諸国で採用されている。

ところが日本および米・英などで広く使われているのは、アメリカ式ポイント・システムである。全米で1886年にパイカ活字の12分の1、つまり0.3514mmを1ポイントにすることを決め、イギリスでも1905年にこのシステムを採用した。

日本の最初の和文活字は、1869年に本木昌造がガンブル・ウイリアムの考案した、号数活字のシステムを参考にした「号数制」が基本になっている。ガンブルはスモールパイカ(11ポイント)を5号活字としたが、本木昌造はこの11ポイントに相当する日本の尺度にあたる鯨尺の1分をあてた。

 現代のワープロやDTPが、この5号に相当する10.5ポイントを取り入れているのは面白い現象である。

号数制とは異質のアメリカ式ポイント活字を始めて日本に導入したのは、1903年東京築地活版製造所の野村宗十郎といわれている。ところが1925年ころに8ポイント、9ポイントが普及してから、活字の大きさの体系が入り乱れ組版上混乱が生じた。その結果、1962年に和文活字のJIS規格が制定され、号数の呼称はなくなりポイントに統一された。しかし、その後も多くの印刷所で号数活字は使われていた(つづく)。

他連載記事参照

2000/06/04 00:00:00


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