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デジタル化でチャンスをつかむためのリテラシー

1999年度の日本のパソコンの出荷は、前年比32%増でほぼ1000万台となり、これは過去最高であると同時に、カラーテレビの国内出荷台数を抜いたという点でも前例のない事態である。このうち40%は個人向けで、インターネット需要に押されて始めてパソコンに触る人も多く出ている。学校教育にも正式にパソコンが入り始め、年配の先生も避けて通れなくなりつつある。

以前からも長期的な見とおしとしては、「デジタルネットワークは電話のように、あまねく広がる」と多くの人が考えてきたが、いよいよそれが具現化する時がきた。ECやeビジネスが取り沙汰されるのもその一環であるが、近年爆発的に普及した携帯電話がiモードに移行しつつあるのはその最たるものである。

日本のインターネット人口は1千何百万人とかいっているうちに、電話がデジタルネットワークになって、iモードでインターネット人口を1000万人ほど加算したのでは、社会にあまねくデジタルをというのはあっという間の出来事だろう。とはいってもiモードも来年には広帯域化するだろうし、他の通信サービスもどんどん変わっていくので、デジタルになったからといって変化が止まるわけではない。

しかしこれからの変化と競争の軸がデジタルであることはますます明らかになるので、デジタルに強いという個人の資質が、単に技術面だけではなく、社会変化を捉えて、そこに自分の自己実現のチャンスを見つけるところにも問われるようになろう。この課題に対しては、21世紀にどのような意識を持つべきかというテーマで「デジタル革命とメディアのプロ」という本にして近日中にまとめて出す予定である。

その著者であるJAGATの和久井孝太郎副会長の関連記事を先日から「コンピュータの100年と、インターネットへの相転移」として掲載していて、デジタルの歴史的総括から、デジタルの影響の本質理解を狙っている。ここで以下の2つの記事を加えた。

5.送り手・受け手相乗効果/応用範囲の拡大−後半
5-2 【ミニコンピュータからマイクロコンピュータへ】
ミニコンピュータの登場が個人のプログラマを産み出し、そこからビルゲイツのような人も登場したことや、また、インテルは日本からの電卓用LSIの受注を契機にマイクロプロセッサを開発したことを通して、それ以前のホストコンピュータとは違う時代に突入し、その担い手も代わったことを描いている。

6.経済性向上/信頼性・操作性向上
パソコンKitの登場が多くの若者の創造力を刺激してベンチャー企業を産み、人気に押されて機能的にも向上を果たしたことと、業務用のUNIXがオープン化のきっかけを作り、それがネットワーク利用の基礎となったこと、そしてパソコンとかワークステーションというハードの違いは問題でなくなり、ソフト化サービス化の時代に入ったことを描いている。

今後は、iモードや将来のiモードがパソコンに代わって使われることも多くなろう。つまりパソコンとかゲーム機とか家電などの姿は借りていても、コンピューティングは「ものばなれ」して、新しい使われ方がされ、新しい価値観を生み、新しいデジタル文明への適応に取り組まなければならなくなる。それはどういうことかについては、次回のまとめの原稿に予定されている。

2000/06/07 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会