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iモードの次にブレイクするのは?

携帯電話の1割強がiモードになるという大ブレイクで、時々接続障害が起きたことがニュースになるほどである。2〜3年前には予測もできなかったことが起こったわけで、一時的に障害が出たとしても、急な変化に対して投資や技術対応がやってこれたのは、やはりインフラビジネスをやってきたNTT系ならでは仕事である。

また爆発的な普及は人々が文字通信を待ち望んでいた事と、コンテンツ側の下地があったからである。iモードの利用者は若い女性に偏っているというが、ポケベル、携帯電話を経て日常的に文字情報のやり取りをする習慣があったところに、パケット通信で安価に使えるように変わるのだから、火に油を注ぐようなものである。

これらの人々を対象にした文字中心のコンテンツもいろいろ工夫したサイトが一挙に増えたのだが、これも基盤はすでにできていたことが、iモード対応に移行できた要因だろう。しかしこれらは過渡的な一つの現象に過ぎない。この先にはモバイルで384kbpsと一挙に高速化する次世代のインフラが築かれていくことになり、状況は一変する可能性がある。

これからは大きいところでは国際的なローミングサービスの競争もあり、またベンチャーなども関わっているDSL、CATVのインターネット、無線のISPなど、接続サービスの多様化時代といわれているが、短期間に次世代のモバイルが定着するかも知れないとなると、他のサービスにも戦略の見直しを迫ったり、さまざまな影響を及ぼすだろう。

iモードの普及で分かったことはNTT系の対応能力の高さで、それとの競争を意識するとなると、CATVのインターネット接続でも加入者拡大のためには相当の投資を続けなければならず、たとえ電話事業に割り込んでいくとしても、NTTはフレッツ・アイのように電話交換にIP接続を割り込ませるようなサービスも始めていて、技術力でNTTとまともにぶつかって勝負するわけにはいかなくなるだろう。

コンテンツについても384kbpsの時代は文字情報万能ではなくなり、マルチメディア機能が盛りこまれ、携帯端末そのものも変化し、それは必ずしもパソコンを模するものではなくなるだろう。では一体何が出現するのか? iモードが2〜3年前には普及が予想できなかったように、2〜3年先の予想も難しい。しかしiモードの文字通信のように、すでに基盤が整った何かがブレイクする可能性が高い。

通信&メディア研究会会報 通巻134号より)

2000/07/23 00:00:00


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