DAM(デジタルアセッツ管理)への取組みは、デジタルデータを扱うあらゆる分野で起きてくるものであり、特に従来のデータベースでまかなえなかった分野が熱心になっている。いわば過去のコンピューティングからすると、「その他」分野であるために、DAMのコンセプトやイメージが固まり難いのだと思われる。つまりDAMといっても利用分野によって比重のかけるところが違っている。
最も多いのは画像データベースから発展したところであるが、文字や数値のデータベースと違って、画面で見て終わりとか、画面からCut&Pasteするとか、プリントアウトするような使い方ではなく、画像を必要な作業をしている時に、オンラインでリアルタイムで取り出して使うような、ワークフロー/コラボレーション的な要素が必要になってくる。だから過去の画像データベースをネットワーク利用型に作り直すしたようなものともいえる。
その画像を必要とする作業というのが、過去からそれぞれシステム化されていて、それらと合わせたシステム構築が行われる。プリプレスもそのひとつであるが、そこに来る前のコンテンツ/原稿の世界でのシステムがあることを考えなければならない。商業印刷なら商品データのマスターや、それに関連したマーケティングデータなどであろう。
それ以外にも、文書管理や、博物館の収蔵品管理など現物を扱うもの、伝票のようなものの管理、などアナログ的なものの情報管理がある。その大規模な世界が国家事業や大学などのアーカイブであり、もともと図書館や博物館などはモノを保管する業務であったのが、それらの利用性を高めるために情報をコンピュータで扱うようになり、またネットワークのを介しての利用ができるように変わりつつある。
ここではモノの管理から、デジタル化、データの管理、配信までありとあらゆる業務があるので、プリプレスよりも歩みは遅いが、次第に汎用のDAMモデルになるかもしれない。ところがこれらの分野では、最初からデジタルの情報も扱うようになって困っている。20年前のパソコンアプリケーションのデータなどがあっても、それのために使うハード・ソフトが問題である。むしろオリジナルがアナログのものは現在の技術でデジタルにすればよいのだが、元がデジタルだと「過去の技術」も一緒に保存しておかないと過去のデータは使えないので、非常にコストや手間がかかる。
このことは実は現在でも同じで、今日支配的なデータフォーマットが10年後にどこでも読めるものかどうかはわからない。そのためDAMといっても、何でも管理すればよいのではなく、利用度を考えて設計するようだ。デジタルマテリアルの寿命は、従来の「モノ」に比べて10分の1から100分の1であるといわれる。だからデジタルは短期間に頻繁に参照するものだけを扱うのであって、長期でデジタルで扱うのは限られたものというのがアーカイブ関係の人の意見だ。短期・長期という時間の尺度の決め方が悩ましいところである。
(テキスト&グラフィックス研究会会報 通巻141号より)
2000/10/10 00:00:00