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XMLがデータ交換の標準となる日

まだ表面的にはXMLを使ったシステムが多く活躍しているわけではないが,データ交換の標準としてXMLは,我々の足元まで忍び寄っている。ITのシステムが急速に変化を続ける中で,データの互換性を確保することは,ユーザのみならずベンダー,SE等全ての人々にとって非常に大きな課題であるからだ。データの表現形式をXMLで標準化すれば,単に企業内の業務処理の効率化 だけにとどまらず,時間空間を超えるものとなり,企業間の取引へも広まっていく。最近は電子商取引をはじめ,各業界でXML技術を応用した標準化が進められている。行政機構では電子申請,医療分野では電子カルテ,また地理情報システムに・・・とその適用範囲は広い。

電子商取引の分野では,デジタルコンテンツを交換するプロセスの標準化を目指して,cXML(Commerce XML)が利用されている。cXMLは,Ariba Technologies社を中心に40社余りの企業が共同で内容を検討してきた。賛同する企業群の中には、ソフトウェアベンダーだけでなく、書籍販売で有名な Barnesandnoble.comやComputerLiteracy.comなども含まれており、将来この規格が電子商取引で大きな役割を果たすことが期待されている。

電子申請分野では,電子申請推進コンソーシアムが,電子申請のメリットを認識し,広めるための活動を行っている。具体的には,共通基盤サービスモデルを普及させるため共通のアウトプットを持とうということで,XMLタグの標準化を推進している。たとえば「年」のタグがA市では年度,B市はイヤーとなっていたら,いくらXMLデータを持っても流通性がなく,コンバータツールが必要になる。そのために重要なのがタグの標準化なのである。もちろんセキュリティやユーザインタフェースも検討しており,各電子申請のポータル間の整合性や親和性を高めようと活動を行っている。

GIS(地理情報システム)は,社会経済にとって重要なシステムありながら,その多くがクローズドシステムであった。しかし,情報流通の流れはクローズドからオープンへと向かっており、最近ではインターネットを利用したWeb型GISやモバイル型GISも登場している。しかし,これらのシステムも完全にオープンな状況ではなく,一般的利用という意味ではまだまだ問題も多い。この状況を改善するため制定されたのが,G-XMLである。G-XMLは,XMLをGIS向けに拡張し,GISコンテンツの相互流通をめざすための技術である。G-XMLにより,GISコンテンツが,利用者側の電子地図やGISエンジン等(GISプラットフォーム)に左右されず,自由にインターネット上を流通し,さらにデータの検索や加工等も容易に行うことが可能となる。

医療分野では,異なる医療機関(電子カルテシステム)の間で、診療データを正しく交換するための,MML(Medical Markup Language)という規格がある。MMLは,データ交換のための標準フォーマットであり,最新バージョンのMMLはXML技術を用いて開発された。他の医療機関とのデータ交換の際、MML文書に変換して送出し,受け取った側は、MML文書化されたデータを自施設のシステムに合った形式に変換してデータベースに格納する。MML技術は,施設毎の独自性を保ちながら,全国の医療機関とデータの交換を可能にした。

この他にも,デジタルデータ放送ではBML(Broadcast Markup Language),新聞ではNewsMLなどの技術が開発されており,各分野のアプリケーションに合わせた実装の準備が着々と進められるようになったのが2000年の大きな動きであった。

お知らせ:
通信&メディア研究会では,11/30(木)にXMLによる業界標準セミナーを開催します。
また,技術リーダーのためのワークショップとして12/7(木)にはXML/SGMLへの取り組み方を開催します。
どうぞ奮ってご参加ください。

2000/11/22 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会