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2000年を振返り、2001年を展望する

各地の中小印刷企業経営者の方々に、電話取材で以下の質問にお答えいただきました。
A:2000年はどのような年であったか?
B:(1)2001年の対前年売上額伸び率、(2)2001年の営業利益額の増減、
C:2001年に取り組もうとしている重点施策、
D:新年に向けての抱負等

<北海道・東北・北関東>

商業A社

A.21世紀に向けて、印刷設備の再投資計画を全社的に検討するため、印刷、プリプレス、マーケティング各部門でプロジェクトチームを構成したが、社員のスキルアップおよび経営参画の意識付けがなされた。DTPエキスパート認証試験に4名が合格、DTPエキスパート保持者は6名になった。
B.(1)3%、(2)増加
C.自社開発の印刷製品に関して実用新案を登録しているがこのアイテム数を増やしたい。また、FSP(フリークエント・ショッパー・プログラム)による小売業支援のソリューションビジネスを展開、DM印刷に5色機を導入してトータルプロモーションを提案、顧客と協業する印刷業を目指す。
D.オンデマンド印刷機(トナーベース)による新しいマーケットの開拓と可能性を研究する。

商業B社

A.新年を迎え今年こそは目標達成と張りきって突進したが、6月頃から売上が落ち未達成に終わった。市内の古い仲間が2件倒産し寂しい限り。
B.(1)0%、(2)減少
C.2005計画を研究し、自社の特化製品を見つけていきたい。
D.何と言っても目標達成。そのためには、徹底的に目標管理をするとともに、出来れば包装資材に挑戦してみたい。また、ヤレの減少も図りたい。

商業C社

A.工期短縮と受注単価の下落が進んだ1年だった。
B.(1)8%、(2)増加
C.営業体制とその支援体制の強化、企画の具現化・改善、営業所展開
D.広告代理店機能の強化を図り、効果的な広告内容・媒体の提案を行ないお客様より信頼と仕事をいただく。

商業D社

A.営業面では苦戦、それを逆手に社内では意識改革をスタート。
B.(1)2.5%、 (2)横這い
C.(1)環境対策は自社の一歩からと考え、リサイクル可能な製品の製造、廃棄物削減、社内環境マニュアルの作成とそれに基づく作業、(2)口先だけではなく顧客と同じ立場で考えてかゆいところに手が届く行動ができる営業体制営、活動。
D.得意部門と不得意部門を再点検(得意と思っていたものが時代とともに不得意になっていないか? 早い時代の流れに乗るためには不得意なことをやらなければいけないのか?創立から50年、自社を創りなおすスタート台に立っている。

<東京圏>

商業E社

A.厳しさが鮮明になり定着した。市場が何かを求めていると思えるが、明確な答えを暗中模索。
B,(1)5%、(2)増加
C.自社の強みを磨く(特殊紙の活用、デジタルデータ処理の品質向上とデジタルの可能性の拡大)
D.機敏な経営を目指す(省時間、省労力)、各部門のアウトソーシングの研究、ISO認証取得。

製版F社

  A.勉強の1年であった。
B.(1)-10%、(2)減少
C. ホームページを制作するチームを作る。
D. 身体だけは常に元気でいること。

その他G社

A.全社で痛みを分け合った年。
B.(1)5%、(2)増加
C. ISO9001取得、経営資源の選択と集中。
D.無回答

総合H社

A.売上額の維持、確保に努めた。デジタル化の結論として、CTP導入、カラードキュテックのバージョンアップ(オンデマンド)の2点で奔走した年。
B.(1)5.5%、(2)横ばい
C.更なる経費削減努力を継続(定年者による人員減少、事務所・工場の統合等)、IT事業(インターネット等)、地域事業立ち上げ。
D.来年以降も厳しい状況が続くと考えている。それを受けて、財務面強化、新事業機軸の確立、コンパクトな組織作りに努める。

<甲信越・北陸>

出版I社

A.競争激化が続き、いまだに光が見えない年。
B.(1)0%、(2)減少
C.設備投資による付加価値アップと新商品開発に取り組む。また、販路拡大を図る。
D.無回答

A.6月までは順調だったが、7月以降ぴたりと発注活力が低下。ローカルにも不安材料が広がり、中央大手の地方侵食と破壊的な価格競争がこれまで積み上げた印刷業界の特質を一気に崩壊させる様相が出てきた。
B,(1)10%、(2)増加
C.マーケットアウトの発想展開で個々のお客様に合わせた訴求を行なう(印刷メディアに限定せず他メディアも読み込んだ提案)。守りに入っては行けない。 印刷営業の形が変わったのでは?
D.人事制度の変革(社内企業家の育成と考え方の推進)。従業者、従業員、労使関係という旧来の固定観念を出来るだけ打破し、もっと自由にのびのびと働ける環境を作る。

<名古屋圏>

出版K社

A.業務代行、マルチメディア、デリバリを含めてソフト部分で売上比率34.8%を達成できた。半面、紙の使用量は前年比26.0%ダウンになった。要因は業務印刷の電子化と海外生産移転である。
B.(1)-7.5%、(2)減少
C.徹底したCS(問題解決型提案企業へ)。情報のカンバン対応(ワンマルチユースの展開、DBを核にウエッブサービス)。人材育成(営業戦略の再構築と対応できる営業力の強化)
D.人材育成に尽きる。カリキュラム、プログラムを策定し着実に実施(2年後)。

商業L社

A.新聞輪転機のサテライトユニットを4Hi機に更新工事が進行中、この影響で減収減益となる。
B.(1)2%、(2)横ばい
C.ISO9000の取得。4Hi機のスムースな立ち上げ。
D.21世紀に生き残れる企業としてITに積極的に取り組む。

紙器M社

A.市況の悪化から売上は2.5%のマイナス。一方、合理化効果も上がって微増益を期待している。新製品の開発/販売が軌道に乗った。
B.(1)3%、(2)増加
C.製品開発、販売に入った2000年の成果を踏まえ、さらに商品数を増やすして業績を上げたい。
D.業界と業界周辺情報収集によって自社の進む方向について経営計画を確認しながら前進。

総合N社

A.まあまあの年であった。利益率アップ
B.(1)1〜3%、(2)横ばい
C.CTPに取り組みたい。
D.前向きに不退転の気持ちでチャレンジする。

<大阪圏>

商業O社

A.市場低迷と価格競争の潜在化が見られた。
B.(1)0%、(2)横ばい
C.利益重視型体質強化
D.部門別の見直し、必要に応じた改革の年。

紙器P社

A.売上は横ばいであったが、内製化の進行により利益は予想以上に確保できた。
B.(1)5%、(2)増加
C.生産性向上、ISO14001、HACCP対応への基礎固め、DTP →CTP→ CIP3の構築。
D.無回答

総合Q社

A.激動の年であった。クライアントの要望の多様化(メディア商品の増加、逆に印刷物ゼロになった客先もあり)。
B.(1)10%、(2)増加
C.ネットワーク環境の再構築、 DTP〜WEBへのデータ作りの技術・技能の強化、 メディア商品関係の営業の確立。
D.「変化するクライアントのメディア環境」と題するセミナーでJAGATの杉山先生がお話しになったように、日々変化するあらゆる環境に注意して半歩先を歩くようにする。

<中国・四国>

商業R社

A.経営計画を達成しまあまあ合格点。反省点ンはラッキーな面も多く自力がついたと言えないこと。
B.(1)5%、(2)増加
C.いかにして自力をつけるかが課題である。(CS(顧客満足)の向上の徹底・教育、新規顧客の開拓、IT革命に遅れないように教育とビジネスモデル作り)
D.2001年は読めるが後半は厳しくなると思う。

事務S社

A.売上が低迷を始め先が見えにくい閉塞の1年。新しいビジネスモデル、商品開発に取り組み始めたが2000年はほとんど成果に結びつかなかった。
B.(1)5%、(2)増加
C. 売れる商品の開発、XML関連受注の拡大(他社製品の販売含む)、社内のデジタルストックの資産化
D.世に景気回復の声も耳にするが、当社には実感が全くない。買われているものと当社が売ろうとしているものにギャップがあるのだと思う。それに気付かねばならない。売れる商品を提供できるようになって業績を回復する。

総合T社

A.引き続き業績としては厳さが続いている。売上額は幾分上向きになったが、主要取引先も含めて受注価格引き下げが加速、仕事が増えれば増える分、利益がどんどん少なくなる状態が続いている。
B.(1)2%、(2)減少
C.なるべく価格面での競合が避けられるよう当社独自の技術を活用し他社との差別化を強力に進め現状を打破したい。
D.固定費の削減、現有設備の活用で他社との差別化を図る。

総合u社

A.仕事の小ロット化、短納期、用紙の値上がりで収益性の悪化が急速に進んだ。
B.(1)0%(1人当たりベース)、(2)減少
C.印刷業はまだまだ無駄が多い。合理化が遅れていると思う。合理的に無駄のない工程を作りたい。
D.急速に進むITに取り組む。

<九州>

商業V社

A.波乱万丈の年だった。ここ2〜3年の種まきが少し功を奏して刈入れ時期に入ってきた。
B.(1)25%、(2)増加
C. ファイルデータサーバーの構築(フィルムでのストックをゼロにする)、社内総務部門のコンピュータの改善増強、特化した高級印刷物を中心とした開拓、ISO9000取得。
D.自己資本向上への取り組み。

商業W社

A. いよいよ淘汰の前段階の年だった。2001年からが勝負の年と思われる。生死の年と予測する。
B.(1) −2%、(2)増加
C.2001年は波乱の年に入ると予測するので、今以上に経営資源(人、物、金)の見直しをする。
D.2001年度から新事業の展開を行なう。小ロット、多品質でも利益が上がるシステムの構築。

総合X社

A.過剰な受注競争で極めて厳しい1年。特に九州地区は景気の低迷と同時に安値受注と用紙費上昇が重なって異常なまでの利益率低下をきたした。
B.(1)上昇することを希望するのみ。(2)横ばいを希望するのみ。
C.仕事量の確保とコストダウン。
D.あまり高望みしない。

(出展:社団法人日本印刷技術協会機関誌「JAGAT info 2001年1月号」より)

2000/12/30 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会