ECで紙のオープンマーケット
印刷のECサイトが増えてきている。ネット上で販売するものから受発注情報の管理を行うものまでさまざまである。EDIの拡張により販売プロセスも変わり,新しい市場に対するビジネスチャンスの拡大・深耕が可能だ。今回はインターネットを利用して,紙・板紙が簡単・便利に調達できるベイツボ・ドット・コムを紹介する。
紙・板紙のネット取引所を開設
イービストレード(株)(東京・千代田区)は,総合商社の日商岩井(株)とデジタルコンテンツ事業に長けた(株)NTT-Xが,それぞれの強みを生かして設立した「総合ネット商社」である。日本初の紙・板紙のネット取引所
ベイツボ・ドット・コム(beitsubo.com)の運営を2000年6月から行っている。いわゆる紙の企業間電子商取引サイトである。
e-ビジネスのスタイルとしてはマーケットプレイスモデルを採用している。特定のメーカーと組まずに,流通と組むやり方で,ポータルサイトを利用した商取引ならびに情報提供サービスを行っている。売り手と買い手がともに複数存在し,インターネットを通じて紙・板紙の売買を仲介する。それは既存の取引関係を超えた新たな市場である。取り引き成立後の物流から決済までベイツボが責任をもって行う。
ホームページを見るとトレーディングサイトとビジネスインフォメーションサイトに分かれている。前者は商取引サイトで,後者は情報提供サイトである。ベイツボ・ドット・コムが他のB to Bサイトと違うところは,ビジネスインフォメーションサイトをもっていることであろう。紙・板紙の詳細な市況情報を提供したり,生産動向,紙の基礎知識,業界ニュースの配信などを行っている。
最近では24時間営業を開始した。それによりいつでも情報を登録したり閲覧したりできるようにした。これもユーザの利便性を大切にしたいからだという。
会員制サイトと個人向けサイトを用意
トレーディングサイトには,「買います」「売ります」「揃っています」の3つの取引サイトがある。
「買います」「売ります」のサイトに参加するには,最初に会員登録をする必要がある。会員登録は法人・団体で商品の販売権限,または購買権限をもっている人に限られる。
会員には,紙の購入を希望する「バイヤー」会員と紙の販売を希望する「サプライヤー」会員がある。両方の立場を希望する場合は,両方に登録する必要がある。ベイツボ独自の審査を行い,パスした企業のみにID・パスワードを発行している。会費は無料だが,登録時にID・パスワード発行の手数料がかかる。会員登録終了後の通知を受け取った段階からサイトを自由に利用できる。現在会員企業が500社を超えており,そのうち6割弱が印刷関連だという。
買い手は紙を調達したい印刷会社,段ボール会社,出版社,卸商,その他であり,売り手はメーカー,代理店,卸商などである。個人で取り引き希望の場合は会員になることができないが,会員登録の必要のない「揃っています」のマーケットでの取り引きは自由にできる。
完全匿名性で取り引き成立
「買います」は,入札スタイルの紙の公開買い付けサイトである。購入意志のある買い手が,紙の種類,数量や希望価格をサイトに登録する。その情報を見て販売意志のある複数の売り手から応札がある。一番低い価格を提示した売り手が落札する逆オークションの仕組みになっている。ただし落札のトータル金額には運送料金が含まれているので,一番安い金額を提示した売り手が必ずしも落札するとは限らない。取り引きはこれで成立する。買い手は相見積もりを取らなくても希望する価格で紙を買うことができる。
「売ります」は,「買います」に続いてオープンしたサイトである。こちらは逆に販売意志のある売り手が,紙の種類,数量や価格をサイトに登録する。その情報を見て購入意志のある買い手から引き合いがある。希望の紙があれば発注する仕組みになっている。売り手側のメリットは,コストをかけずに今までとは違った幅広い客層に対していつでも販売が行えることである。また競争力のある商品や余剰在庫処分などにも適している。買い手側のメリットとしては,欲しい紙を低価格で購入する機会が増えるし,ときには出物に出会えることがある。価格や数量については直接交渉が可能で,往復で2回メールのやりとりができる。
両サイトの特色は,バイヤーとサプライヤーをインターネット上で匿名で仲介するビジネスモデルを提供したことにある。すべてのプロセスにおいて取引相手がわからない仕組みになっている。匿名にして,すべてベイツボを通じて取り引きを行えば,たとえ何社の紙を買おうとも何社に紙を売ろうともベイツボとの窓口がひとつ増えただけで済む。会員企業の資材調達業務の煩雑さを解消することになる。もちろん他の売り手・買い手に情報が知られる心配はない。相手先がわからないようにするためにいろいろな仕掛けをしている。
「買います」「売ります」ともに5トン,10トンとまとまった量を購入するのに向いているが,500キロ以上であれば購入はできる。それより少ない量の場合は,「揃っています」で購入できる。
「揃っています」は会員登録なしで,誰でも購入できるオンライン取引サイトである。ファンシーペーパーを1枚からでも販売している。売り手,買い手ともに会社名をオープンにしている。売り手側があらかじめ販売可能な紙のトレーディング情報を登録しておく。いわゆる電子上の商品カタログである。購入希望者はその情報の中から必要な紙を選ぶだけでよい。汎用品はもちろん,ファンシーペーパーや情報用紙など特殊紙も簡単に注文することができる。会員についての決済はベイツボが行うが,会員以外は商品を届ける時に現金支払いとなっている。また物流については小口配送を得意とする卸商に担当してもらう。
既存取引先とのネット取引も実現
今後新たにサービス提供するものとしてASP事業がある。同社で考えている電子購買支援サービスは,インターネットを使ったネットビジネスを考えている企業のニーズに応えるものである。既存の取引先とのネット取引を実現したい企業向けである。同社のモデルを応用し,システム提供しようというものである。そのまま自社システムとして使用できるので,システム構築の時間・コストなどの経費が大幅に削減できる。またこのサービスを利用して複数の販売店,代理店からの相見積もりもネットを使えば簡単にとれる。
今後はいろいろなサイトを動かしてe-クロスマーケットを展開していきたいという。ちなみにベイツボ・ドット・コムのベイツボとは「米坪」からきている。papertrading.co.jpあたりにしなかったところがかえって斬新である。(上野寿)
PAGE2001のITソリューションコーナーに各ECサイトが出展しています。ご参照下さい。
2001/01/24 00:00:00