企業のEC化の取り組みについてある調査報告を読んだ。アメリカの場合はネットワーク利用目的をECと答えている企業が大半であるのに対し、日本の場合、ネットワークを利用する目的がECというケースは数%程度であった。日本の商習慣が、現状のECにあわないからだろう。
JAGATでも、パソコン関係はインターネットを通じて発注するケースが増えている。先日、某大手金融系のレンタル業者のWebサイトで、2年前のパソコンサーバが10分の1程度で販売されていた。そこで、どのような取り引きの流れになるのかをみてみた。発注についてはCGIでやりとりをする仕組みであった。商品は数台程度しか売られていないが、逆に、数台でも無人で取引ができる仕組みになっているといえる。数が少ない商品を取り扱う場合、コンピュータを利用した取引形態は有益である。
試しに注文をしてみた。通常、BtoCのインターネットショッピングは、カード決済などを利用して、その場で手続きが終わる。しかし、その大手金融系のレンタル業者のWebサイトでは、顧客と取り引きをする際に、購入する企業の資本金や年商、業務内容を書面(このときはExcelデータであった)でやりとりしなければならない。それが終わってから商品を注文して、1週間ほどしたら現物が届き、さらに後に請求書が届き、銀行振り込みをした。モノを買う気になってから発注までに約1週間程度の期間を要した。そこで行っていることはECという環境のない場合は、ごく普通の取り引きだが、インターネットを利用したショッピングとしてはメリットはない。
日本のECは旧来の取引慣行はそのまま踏襲しつつ、プラスアルファをオンラインでやろうとしていて、二重苦を背負っている。小口の商品やBtoCなら、オンラインですべて片付くようになるのだろうが、企業間の場合は双方が(売るほうも買うほうも)既存の取引にこだわってしまう。売るほうのEC化と買うほうのEC化のどちらが進むのかは、にわとりが先か卵が先か、という話になっている。
EC化が比較的早く進む業界は、何かの部品調達のように、売るほうも買うほうも業界内でEC合意しているところだろう。業界全体で取り決めして、各社が足並みをそろえて進むことができるからである。そうでないところは、EC化があまり進んでいない。ここで、一般論としてのEC化のなりゆき、というものと運命共同体としてのECの取組みは分けて考えなければならないことに気づく。
EC環境はさまざまな要件をクリアしなければいけないので、一般論では先が見えずスローに展開するであろう。しかしビジネスの競争という分野ではECができる環境を早く整えたほうが有利である。印刷会社自分自身であっても、その主要得意先であっても、運命共同体としてEC化せざるを得ない時期は、日本でもきっとあるだろう。その時にむけて主導しようという会社や、その時の立ちあがりをすばやくするために、今日の日本のECの模索があるともいえる。
■JAGATのEC関連セミナー■
「ビジネスのEC化に検討すべきこと」(開催日:6月21日)
ネットワーク化で起きる訴訟や権利問題,決済サービス,4月から施行された電子署名法,XMLによるコミュニケーション,コンテンツビジネスへのアプローチなど,顧客のコンテンツ販売,仕事の受発注などを支援をするための要件を議論する。
2001/06/11 00:00:00