かつて、PostScriptを軸としたDTPが最初に発表されたのが、アメリカの新聞発行者協会の展示会(NEXPOの前身のANPA)であったことを書いたことがあるが、今年はAdobeはInDesignキャンペーンのような形で出品していたものの、新聞雑誌でまだ圧倒的シェアを誇るQuarkが出ないという状況である。システムに組み込まれた製品としてのQuarkXpressはあちらこちらで見受けるが、ベンダーとしてはQPSを引き継いで販売しているModulo Systems Incの小さな小間だけがQuarkの説明をしていた。
DTPは多目的のレイアウトソフトから出発して、QPSなど新聞雑誌にニッチなところまで来たのだが、さらにその先もある。つまり、レイアウトソフト自体はゆきわたってしまった今、ユーザの関心はコンテンツ管理からできあがった印刷物の配送までを管理するシステムに移ってしまい、DTPソフトの開発だけでは市場の要求に応えられないようになってきた。
先の報告では、ドットコム退潮の中で新聞広告のうちローカル広告はそれほど減っていないことを述べたが、会長はpeople oriented newsにフォーカスして新聞の強さを保とうというような話をしていた。今回主催者であるアメリカ新聞協会の会長は黒人になっており、その人はマイノリティ向けや、若者にフォーカスした新聞などの可能性を訴えていた。かつてはアメリカ社会の中から上で高い年齢層を主眼にしていた新聞が、社会の底支えをしようという考えである。
何万部かの新聞を発行しているある新聞社が、スペイン語版をだしたらそれが1万部になったという話もあった。これはその新聞社にとっては非常に大きなものである。つまり、どんどん部数を拡大する新聞よりも、細かくセグメントわけし、広告と言う点ではマイクロゾーニングするという中で、新聞の可能性は拓けるのであり、そうすると新聞ビジネス全プロセスの省力化・自動化が求められるようになるのである。このことはフロントエンドよりも重視されだした。
かつての新聞制作の編集システムとプリプレスシステムにまたがる領域はフロントエンドと呼ばれたが、これがDTPおよびコンテンツ管理に置き換わって、後ろ工程に向けてフルページネーションをするように変遷してきた。しかしこの過去の大きな努力の産物は今ひっくり返りそうになっている。それは最近まで多くの出版社はフルページネーションで校正済みのものからデータを抜き出してWEBに流用することを行っていたのが、WEBと紙の制作を同時に進める、あるいはWEBのデータを紙に持ってくるような流れが求められているからである。
つまり紙面制作とWeb制作の接点は全く変わろうとしていて、かつてのフロントエンドという考え方は乗り越えられつつある。例えば過去の記事の検索や調べものをするのも、原稿を書くのも、案内広告の入稿も、何もかもがWEB経由で行われるような環境になりつつある。WEBを使ったワークフローでコンテンツの収集から進むとなると、WEB出版の方が先にできるのである。その典型例は案内広告で、新聞のフロントエンドなどを使わずとも、WEBオークションみたいな仕組みで十分機能を果たせる。だから新聞社もWEB上の業者とタイアップして中古車の案内広告(WEBの紙版)を作るような動きがでている。
今年はXMLの新聞応用の話も急に増えて、しかもそれがNewsML、NITFのダブルスタンダードになり、それらに共通した記事分類のIPTC subject codesがあるなど、解り難い状況にある。いずれにせよ、コンテンツのXML化は必須であり、それの扱いを前提とした新「フロントエンドシステム」にもう一度作り替えなければならないところにきているようである。新聞に特化した従来の一部のシステムは今回XML対応を謳うようになっているが、それらはDTPの外側のコンテンツ管理的なところの機能としてであって、DTPのモジュールは一歩遅れているような印象がある。
この項続く
関連報告 広告が先導する新聞システムの展開 ― NEXPO 2001 より ―
2001/06/29 00:00:00