本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

印刷業も、マイ・オウン・リスクに?

JAGATではさまざまなセミナーを開催しているが、それらを分類すると「一聞いて十を知る」的なものよりも、「百聞いて十を知る」的なものの方が多いかもしれない。新たな方向や新たなビジネスのヒントだけというセミナーよりも、何かを成し遂げるまでのHowTo、具体的手順とか、成果が出るにはどうするか、などが期待される場合が多い。
これを言いかえると、今日の印刷業では「石橋を叩いて渡る」人が、野心的な人よりもずっと多いからであろう。石橋派が多数という状況は今後とも大きくは変わらないだろうが、ある程度以上の規模のところや、またこの変革期に大きく成長を目論むところは、石橋派でいることはできない。

用紙やインキからみる限り、日本の印刷の市場は決して縮んでいってはないのだが、大ロットの仕事の集中化や、それとも関連した価格の下落の傾向はまだ続いていくと思われる。まだ紙にインキを載せる仕事は日本の印刷業の利益の源泉ではあるが、将来もその拡大を考える会社は大小零細どこにもない。
日本の印刷業が狙う付加価値はすでに紙から相当離れており、顧客の業務のサポートにシフトしつつある。顧客の企業内でコピー機を操作するというのは序の口で、原稿執筆の代行、企画の補佐、調査代行など、さまざまな例が出ていて、総じて専門特化か情報の上流に向かっている。

最近JAGATが行ったマーケティング意識に関する調査の概略を、「守りから攻めに転じて需要発掘」にまとめたが、やはり「ニーズを把握したコンサルタント的アドバイス」や「ソリューションの提供」をして需要拡大を図ろうとするところが従業員数50名以上の企業には多い。
こういった展開の成否は自分の能力と顧客の要望のマッチング如何にかかっていて、そこを自分で調査して、管理していかなければならない。要するに自社のマーケティングを行って,リスクを減らし,顧客満足を高めるような方策が求められ,「顧客の顧客(エンドユーザー)」の行動を想定したり、「拡印刷」へ領域拡大を図ったりすることも、今後、顧客環境の変化に対応していくために考えられている。それらに応えていくためには、個々に戦略を練り直し、改めて自社のマーケティング活動を見つめ直す機会を、社内で設けることもきっと必要になってくるはずである。JAGATでは、こうした経営・課題としてマーケティングを捉え,『経営シンポジウム』を10月24日(水)に予定している。

時代を先駆する開拓者精神旺盛な経営者を対象に,この『経営シンポジウム』を含む経営を全方位からとらえなおすための総合プログラム[Premier Proglam series] を用意して,ご参加いただく事で,技術,経営マインド,ITなどをバランスよく舵取りできるように考えております。

2001/08/26 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会