JDFはプリプレスのAPJTと印刷・後加工へのインターフェースであるCIP3を統合して,印刷工程全体をオープンな指示書(ジョブチケット)によって自動処理を実現しようとするものである。ハイデルベルグのMetaDimentionはこのJDFとPDFというオープンフォーマットを前提にしたRIPベースのワークフロー製品と言える。
一般的にCTPワークフローは,DTP制作された完成したページデータを受け取り,データチェック,面付けなどの前処理に続いて,プルーフ出力や検版・プレートセッタのための出力RIP処理などのワークフローは各システムごとに工夫がされている。
実際のCTPワークフロー製品は,Adobe社のPostScript,PDF,Extreme技術をCTPベンダーが利用して自社のCTP出力機との接続や,他社システムとの接続インターフェイスを提供している。
インタープリット部分をAdobe社がPDF生成用にアプリケーション化した製品がDistillerである。また,サードベンダーが新たな機能を追加して自社製品を開発用できるようにライセンス方式で外販しているソフトウエアコードがノーマライザーで,基本機能は同じである。インタープリット後の線画はアウトラインになるため,出力機の解像度に未だ拘束されていない。インタープリット後に中間データとして取り出されたものが,PDFそのもの,DS/TrueFlowのPolishedPDFなどである。
このときにフォントの扱いは3種類あって,第1は文字コードのみを保持させて,最終的な字形は出力時のRIPの搭載されたフォントによって生成する方法で文字化けの危険性があり印刷用途では使用されない。第2は書体の埋め込み(フォントエンベッド)で,これはページデータ内にそのページで使用されるフォントデータのみを読込んでしまうので,文字コード+フォントデータという形式ではあるが,文字化けの心配はほとんど無く,再編集時に文字サイズ変更や,改行なども可能である。
適応するRIPはPostScript3(CPSI-3011,CPSIも外販用のPostScriptソフトウエアコードの商品名)である。フォントエンベッドPDF はCMYK変換された画像と組合わせてPrintPeadyPDF(印刷出力のためのPDF)に使用されている。
第3はフォントをアウトライン化する方法である。この場合は出力解像度には拘束されないが,文字は線画化されているで,組版を訂正するような再編集ではできない。TrueFlowのOutlinePDFはこの形式である。また,レナトスJOBのうちのPOM形式も独自フォーマットであるが,文字も他の線画と共にアウトライン形式になっている。
一連の処理を,富士フイルムのCelebraNT Extremeではstabillizer(スタビライザ)が,CreoScitexのPrinergyではRifiner(リファイナ)が行なっていて,ジョブチケットで連続処理が実行される。DS/TrueFlowのPolishedProPDFなどもこれである。
1bitTIFFは網フィルムと同様であり,訂正はストリップ修正と同様に"切り貼り"で行なう。変化しないという意味で信頼性が高いため,中間フォーマットとしているワークフロー製品が多くなってきた。
富士フイルムのCelebraNT Plusでは単ページの低解像度EPSとCTP出力用の1bitTIFFを生成する,そして低解像度EPSを用いてMACのDoTop面付けソフトで指示データを作成,OPIのようにデータを差換えて面付けされてCTP出力される。この時に低解像プリンタへの出力を行なうのであれば,プリンタ用の1bitまたは8bitTIFFを同時に生成しておくことができる。また,DoTopは単ページPDFを面付けする新バージョンも予定されている。
AGFAのPrintDriveシリーズ2も,ジョブ貯蔵庫としてPIPから1bitTIFFを受取り,面付け,一部素材のみのRIP処理データを受け取っての差換え訂正などを行なうことができる。
ジーティービー/Bit-Troughシリーズは1bitTIFFからプレビュー画像を作成するPreviewMaker,デスクリーニングによりプリンタ用の低解像画像を作成するProofMaker,ページ面付け・大貼りのPlatePlanner,その他に修正,検版,CIP3リンクなど一連のツールがシリーズ化されている。Bit-Troughはどこのワークフロー製品で生成された1bitTIFFでも扱えるオープンなシステムであり,データ容量の欠点については,前述のcubic-Dで高圧縮されたデータをそのまま読み書きできるような開発も進んでいる。
■出展:JAGATinfo別冊機材インデックス2001-2002より
2001/09/24 00:00:00