現在,製本の各工程の機械設備で手作業が残っている部分は,例えば紙揃え機の給排紙,断裁機上での刷り本の回転,折丁結束時の板の挿入と丁合い時の除去,そして丁合い機ボックスへの刷り本搭載等で,いずれも,費用対効果の面で自動化が見送られているものである。したがって,それらはライン化に向う中で解消されていくと思われる。
PURは,EVAホットメルトにない特長を有しているが,湿気反応型であるためオープン型ロール方式の糊ポットでは反応が進んで増粘・固着するため管理が大変であり,さらに単行本で2〜3円/冊ほど高いといった問題があって普及しなかった。しかし,最近,表紙にノズルで塗布することでの管理面の改善や糊を薄く塗布して使用量を押さえてコストを下げるシステムが開発され普及の兆しが見えてきた。
このようなニーズに対応するために,他の本や印刷物,サンプル,CD-ROMなどを投込みあるいは糊付けして印刷物の多様な組み合わせでの発送セットを作ることができる中綴じ製本機が出されている。これはフィルムラピングと宛名貼りをして発送準備を行なう設備と繋げることもできる。
セレクティブバインディング機能とインクジェットプリンティングを組み合わせた製本システムは,通販カタログやDMを個々の消費者毎あるいは地域毎に編集したり,購読者宛の個別メッセージの印刷やオーダーシート挿入などをすることでより付加価値のある印刷メディアにすることができる。
また,デジタル印刷システムにインラインの製本機能を持たせることで,内容が異なる本を1冊からでも連続的に印刷,製本するオンデマンドでの生産技術は,まさに消費者に受け入れられる価格,納期で1冊の本でも作って提供できる。それ以上に製品の小ロット化,カスタマイズ化あるいは超短納期での印刷物の生産加工など,幅広い範囲でその威力を発揮する。
PL法に対する認識も定着してきており,針金によるケガ防止対策として逆中綴じの採用・非金具化による安全性と無公害を目的としたカレンダーの熱圧着方式も増加してきている。
また,発想を全く変えて針金綴じに変わる糊付けによる中綴じ加工を可能にし,折り,綴じ,トリミングの一貫作業で刷り本から製本までを仕上げる設備も登場した。従来の針金綴じ製本同様,表紙,本文が別紙の物を取り込むことができるし,中身に,両端折り,変形折りなどを取り込むことも可能である。
インラインコーティングについては,コーティング技術や材料の改良によって,印刷速度を落とさずに超光沢,パール調,メタリック調等の従来にない高品位印刷物もできるようになってきた。また,環境対応の視点から,水性コーティング材の製品群の幅もひろがってきている。
資源環境問題への対応の必要性から,包装資材に関しても変化が見られる。再資源化が容易な紙容器,再資源化義務対象外の液体容器,あるいは分離可能な容器としてのバックインカートン,紙缶,カップ類など環境をキーワードとした商品化が活発に行なわれている。
■出展:JAGATinfo別冊機材インデックス2001-2002より
2001/10/09 00:00:00