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アーカイブにいぶきを吹き込むメタデータ

紙やCDやDVDなどのパッケージメディアは物理的な容量の制約があるので、限定された目的・用途の情報パッケージを作るには向いている。小説とか映画など始まりと終わりがあるもの、名簿やディレクトリのように取り扱う範囲が限定されているものには好都合である。また物理容量内に使い勝手がよいように情報を上手にパッケージングするのが企画編集の腕であるともいえる。

しかし紙の百科辞典の衰退にみるように、情報の範囲に際限がなく常時どこかが更新されているような、広さが問題になる内容では、インターネットのようなオンライン媒体に取って代わられつつある。

実際には今日のWEBの検索結果は目的のもの以外が多すぎて、パッケージ媒体に対してWEBが圧倒的に有利というほどのことはない。しかしWEBのHTMLがSGMLをベースにして決められたものであり、それが再びSGMLの目的に合わせて発達させたXMLが実用の域に達しつつある。

SGML/XMLではキーワードの意味的な処理が可能になり、単純な検索結果の中から探索の文脈に合っているものを絞り込むことができる。しかし検索されるべきものにメタデータのタグつけがされていなければSGML/XMLも機能の発揮ができないので、結局はデータの作り方の問題になる。

従来デジタルのコンテンツがいくら溜まっていても、そのアーカイブがビジネスになるかどうかは予測がつきにくかった。それらは新聞がその時点でのニュースを伝える如く、過去にあった価値が時間を経ると変わってしまい、今日的にどんな価値が見出せるかわからないからであった。

コンテンツそのものにもともと意味が含まれているというよりは、それを役立たせる視点でメタデータを付与できるかどうかというのがアーカイブの課題であろう。アメリカで企業が販促に使っていた古いコマーシャルフィルムには知的財産権を主張していないものが多くあってアーカイブができたが、その利用者は商品を買いたいのではなく、社会学的に生活習慣・風俗・言語・景観など全く別の視点から資料としてみているという。

企業のWEBサイトの悩みのひとつに魅力あるコンテンツがないとわれることがあるが、企業にある過去の情報の蓄積も見る目によっては重要なアーカイブになるのだろう。

■出典:通信&メディア研究会 会報「VEHICLE」通巻150号 より

関連情報 : 毎日新聞社のデジタル・アセッツ・マネージメント

2001/10/30 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会