代表の原口信克氏は以前,DTP環境のOPIサーバ,データベースサーバなどの販売に携わっていた。当時からデータベースの性質上,パッケージングされた商品では,顧客のニーズを満足できないというジレンマに陥っていたと語る。
そのときの経験からデータベースとは,顧客である印刷会社だけでなく,その先の顧客である企業と一緒に構築していく性質であることに気付いた。同社設立に際して,単純なシステム販売でなく,要望に応じた仕様でデータベースを構築していくことを方針にしたという。
同社の業務は,印刷会社をはじめとして,デジタルコンテンツを扱い,制作ならびにパブリッシング業務を行っている企業の支援のために,システムインテグレーション,開発,構築,コンサルティングを行うことである。
一つのシステムに関してのヒアリングも,多いときで仕様が決まるまで10回近く行ったそうである。実際に印刷会社の担当と同行して顧客先に伺うことも多々あるという。 システム納入後は必要に応じてワークフローアドバイスやコーディネートを行う。導入時の教育はむろん管理保守から運用支援まで行う。
●データベース構築
デジタルプリプレスにより生成されたデジタルデータをいかに活用していくのかが課題になっている。データベースの基本は,データの一元化にある。既存の情報データベースとのリンクが必要で,そのサポートを行う。プラットフォームはWindowsでもMacintoshでも運用に合わせて選択できる。
●CGIの開発
データベースからコンテンツを公開,配信するためのCGIの開発を行っている。現状のワークフローに最適な環境を選び進めることが可能である。しかし,CGIの開発のみで終わることはほとんどなく,運用するところまでサポ−トする。
●データベース配信システム
電子カタログ,素材配信システム,課金システム,画像管理システムなど,カスタマイズされたものを開発している。 なかでも自動名刺作成システムは,名刺のテンプレートを複数用意して,レイアウトを選択,必要項目を入力するとPDFでサンプルイメージが見られ,確認後にオンデマンド印刷機より出力されるものである。
●自動組版システム
データベースからアプリケーションに自動で流し込み,レイアウトするシステムの構築も行っている。その際のアプリケーションも素材によりIllustratorやInDesignなどを選択することが可能である。自動流し込みのソフトウエアはTHETA ECHOS Ver3.5を採用している。
1商品につき1ブロック単位でテンプレートに流し込み,配置し終わると自動的に新規ページを作成して流し込む。見開きページのレコード流し込みも専用のマスターテンプレートを使用すれば可能である。
商品カタログ,チラシなどの分野をカバーすることによって,印刷物はもとよりWeb発信のデータベースパブリッシングを進めることが可能になる。ちなみに同社は「THETA ECHOS」の関東地域における販売・サポートを行っている。
複数の印刷会社に発注していたデータをすべて引き上げ,1社に集約させた。サーバはその印刷会社にあり,コンテンツ管理は印刷会社が行っている。1社の印刷会社が管理していれば,すべての素材が1カ所に集まっていることになる。顧客である自動車メーカー用にWebで公開しておけば,自由に使用できる。商品情報はメーカー側がSQLDBテーブルに直接入力する。データベース化されているので,モデルチェンジや新着のデータなどにもタイムリーに対応できる。
販売代理店がアクセスできるようにし,必要なコンテンツをダウンロードすると,1点ごとに規定の料金が発生する自動課金制度を採用した。集計した請求書を自動的に発行し,後日送付する仕組みである。その自動車メーカーの販売代理店は80社から90社ほどあるという。これにより人件費などの中間コストの削減にもなっている。
「よく言われていることですが,優良企業とは,メーカーの開発力,商社の営業力,マーケティング力,すべてをバランスよくもっていることだと思います」という。
そのためにはノウハウを蓄積し,提案力を備えた企業に成長していきたいと抱負を語った。
出典:JagatInfo 2001年10月 (上野寿)
2001/10/31 00:00:00