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次世代新聞システムを示したJANPS2001

 21世紀初頭の新聞システムの出展相次いだ「新聞製作技術展JANPS2001」が盛況裏に閉幕した。

 日本新聞協会主催、日本新聞製作技術懇話会(CONPT−JAPAN)協賛の第16回 新聞製作技術展JANPS2001が11月13日からの4日間 東京有明の東京国際展示場で開催された。会期中の入場者数は19,127名、前回のJANPS99よりも約4,000名近く増加、新聞業界はもとより印刷・製版や広告業界からも多数視察し、新製品の出展ラッシュとともに大盛況となった。

 21世紀初めてとなる今回は「環境と人と技術の調和−21世紀にはばたく新聞づくり」を統一テーマに日本新聞協会とCONPT加盟の44社がプリプレス、プレス、ポストプレス部門で新製品、新技術を披露した。特に「CTP JANPS」とも呼ばれた今回はCTP本体6社や版材3社、システム接続3社が相次いで出展し、新聞製作講座やCONPTセミナーでのCTP関連説明と相まって高い関心を集めた。わが国での新聞用CTPは欧米新聞社と違い、固有の版サイズや複版、解像度や高い生産性などが要求されるため開発、導入が遅れていた。ここに来て開発が進み全国紙、地方紙での導入移行が始まったのを受けて、JANPS出展と連動して着実に普及する状況となった。

 プリプレス部門ではシステムベンダーから「次世代新聞ソリューション」として新聞発行を基幹業務としながらも多メディア発信する新しい仕組みが紹介された。中核となる「素材管理システム」ではXML、NewsMLによるコンテンツ管理ワークフローと連動した実演デモがあり注目を集めた。汎用化、オープン化に対応した「PC組版端末」も11社が一斉に出展して機能・操作性などをアピールした。InDesignを使用した組版システムも3社が出展した。広告のデジタル化が進展する中で「広告関連システム」も花盛りとなり、広告管理、広告電子送稿、カラープルーフ、カラーマネージメントのシステムは15社が出展した。プリントオンデマンド印刷機も2社より出展され、イベント、号外、海外新聞や離島での印刷を紹介した。素材管理とリンクしたデジタルアセッツマネージメントでは記事、写真、紙面、動画、音声などのコンテンツデータの管理と携帯電話、PDA、デジタル放送、電光表示ボードへ発信するワンソース・マルチユースが出展され、プロトタイプ、参考出品ながら臨場感のあるデモが多かった。

システムベンダーのブースにベンチャー企業が出展する「軒下展示」も登場し、Adobe製品や広告制作、デジタルネットワーク、Web関連など多彩な展示を行い、新聞製作技術にも新しい波が来ている事を実感させた。

 プレス・ポストプレス部門も新製品、新技術の出展があり、特に省エネ、省スペース化として話題の「シャフトレス輪転機」が5社より紹介され、このうち東京機械、ゴスグラフイックジャパンより実機運転による印刷デモが行われ、多数の観客を集めた。

また、インキ部門では各社が「環境対応新聞インキ」を出展した。

以上、先に開催された「新聞製作技術展JANPS2001」の概要をレポートした。

わが国でもブロードバンド、デジタル放送、次世代携帯電話などによる多メディア・多チャンネル化が進展する中で、新聞社も新聞発行を基幹業務としながらも多角的に情報発信するマルチプルメディア企業に向かって取り組みを始めている。インフラとなる新聞システムも従来の新聞CTSから脱却し、オープンな環境による次期システムが要求されている。JANPS2001は新聞社を取り巻く環境変化、要求に対応してデジカメからPC組版端末やCTP、シャフトレス輪転機そしてe−Newspaperなど21世紀初頭の新聞技術を見渡せる出展が相次ぎ、記念すべき展示会となった。

2001/12/11 00:00:00


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