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Webも、One-fit-all とはならず

どこかのWEBの正体を知りたいときは、whoisを利用するのが便利である。例えばこのサイトは、JPNICに1996年7月11日に登録し、8月27日には接続開始したことが上記では判る。実際は一般には9月20日にWebサイト(www.jagat.or.jp)をアナウンスした。これは専用線と自社サーバによる公開運用開始の記録だが、それ以前はISDNのダイアルアップでの外部接続と、社内LANでのサーバ運用だった。

公開に際してはこのような技術的な背景よりは、日常どのような情報を出しつづけるか、その社内体制をどうするかの方が大きな問題であって、1994年から研究会などでインターネットについての情報収集を重ねるとともに、1995年から社内コンテンツの分担を整備し、1996年になってWebサイト試験運用を始めた。最も古い原稿は1996年1月のものである。

JAGATでは書籍や雑誌,通信教育の教材などの紙媒体で,専門的な印刷関連の情報を提供してきたが、紙媒体の情報のリーチの広がりが少ないことを痛感した。ほっておくと既存の読者層などどんどん狭い範囲に絞られていってしまうのである。
一方1980年代に入って、キャプテンを始め電子媒体の実験が多くされるようになり、将来はオンラインで情報が広く出ていく時代が来ると信じて、MS-DOSのころから社内文書の電子化の体制を整えてきていた。

最初にそれらが活かせるようになったのは、1987年から始めたパソコン通信のホスト局の時であった。しかしその後Nifty他の商用大規模パソコン通信サービスが全国に広がるにつれて、草の根BBSは運用できなくなった。Niftyでの専用フォーラムもやったことはあるが、大変費用はかかったものである。
そうこうしているうちに1994年くらいからブレイクし始めたインターネットという新たなメディアで,これらのコンテンツを活用できるようになった。過去に蓄積された情報の再利用も、将来作られる情報も、すべてWEBを機軸として会員や業界に向けて情報発信する手段として利用できると考えた。

JAGATにとってWebサイトの意味は、従来の印刷と郵便でつながった対象とは異なるところとコミュニケーションをするツールという面と,新たな情報サービス事業の2点である。後者ではそのうち広告モデルも、と考えていたが、そのような収入の目論みで投資をしなくてよかったと思っている。むしろ他社の広告よりもJAGAT自身の事業の広告ツールという役割だけでも投資のオツリがくる。(そのくらいしか投資していないともいえる。)

後者のマジメな例では、オピニオンや、今度一般にも公開するプリンターズサークル掲示板など、紙媒体と連動した企画などの新たな試みをしている。特別ページのThe SGML/XML Pageも、JAGAT客員研究員の岸さんを中心に、サイバーな集まりだけでなく、ビジネス指向のリアルワールドの会も活発に活動するようになった。今後はコミュニティ的な情報ニーズは高まると考えて、その方面に力を入れるようにしたい。

このようなことをしてきた jagat.or.jpは,JAGATが出すメッセージングの有用な一翼を担っている。トップページでは,ユニークな業界の動向や提言などのコラムを毎日掲載している。従来のJAGATのメッセージの対象は、中間管理者以上の方々が主流であったので、WEBもそれを継承していた。インターネットの初期の利用者は,どこでもエンジニアや研究職が中心であったが、次にパソコン及びブラウザ普及で,中間管理職やコンピュータに強い社員がWEBをよく見るようになった。それにあわせていたわけである。

ところが今日ではWEBを最もよくみるのは一般の人々だと思われる。さらにこのサイトも土日でもアクセスが途切れずにあり、今やブラウザは家庭の情報ツールとして普及し、社員だけでなく派遣社員やアルバイト、学生の方々までがこのサイトを利用している。
インターネットを見る人の裾野が広がったことにあわせて,JAGATではコンテンツの広がりを目指そうと考えた。しかし,www.jagat.or.jpに細かい印刷関連の技術情報まで掲載すると,www.jagat.or.jpというサイトの意味合いがぼやけてしまう。

 そこで,印刷情報サイト「print-better(http://www.print-better.ne.jp/)」を2001年秋に立ち上げた。print-betterは印刷物を作る際に便利な情報を集めたサイトである。サイトのコンテンツは,大きく分けて「印刷のツボ」と「問い合せ情報」の2つに分かれる。印刷のツボは,印刷物を発注する人が疑問点にぶつかったときに参照していただくようなサイトを目指す。

このように内容を区分けして、jagat.or.jp はあくまでJAGATが今日的なメッセージを発信するサイトとし、print-better.ne.jp は、印刷物作成に携わる広範な層を対象に,日常の情報収集に役立つ内容の提供や,よいパートナーをみつけられるような情報を充実させていくつもりである。

2001/12/22 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会