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電子メディアを紙メディアの肥やしに


JAGATで発行する月刊「プリンターズサークル」は,25年の歴史があり,その間に印刷業を取り巻く環境は,活版から写植・オフセットへ,そしてDTPへと,デジタル化という大きな波にもまれ劇的に変わってきた。弊誌はその変化に合わせて,半歩くらい先行して技術情報や印刷ビジネス情報を読者にお届けしてきた。つまり,編集方針としては,実践的な情報を提供をするとともに,時代を先がけるナビゲーションマガジンであろうとしたし,現在もまた,その方針や思いは変わっていない。

しかし,1990年代後半からは様相が変わって,単純に半歩先をこころがけるだけでは,業界とはしっくりいかなくなった。インターネットが急速に普及して,多くのWebサイトが作成され,電子メールが活用されるようになり,新たなメディアとして一定の評価と地位を獲得した。

こういった情報通信技術は,あらゆるビジネスの基盤となり,社会を大きく変えつつある。ITバブルの崩壊で,ECやネットワーク活用に懐疑的な思いを持っている人もあろうが,マネジメントの質を上げ,営業を含めた業務機能の質を向上させることの必要性は,少しも揺らいでいない。

一方で,これらの新たなメディアは,印刷というもっとも歴史のある完成されたメディアを脅かしつつある。例えば,従来は印刷物であったカタログが電子カタログに,会社案内がWebサイトになったり,またWebを販促ツールとして活用するなどである。このような状況では,電子メディアが印刷物需要に量的・質的変化をもたらしている。それは例えば,「必要なときに,必要な部数」というオンデマンドのニーズである。

しかし,デジタル化やネットワーク化を悲観的にとらえる必要はない。印刷物かWebかと対立的にとらえれるのではなく,両者をうまく結びつけることで,相乗効果を上げ,顧客ニーズにこたえ,顧客支援や業務の効率化につなげていけば良いのである。

同様の変化が出版分野でも起こっている。出版ビジネスでは書籍・雑誌の販売が,今年も前年比でマイナスとなるのは確実であり,5年連続のマイナス成長となる。まさに,その状況はインターネットや携帯電話といったメディアの普及と反比例している。

現在,紙の出版ビジネスは大きな変革期にあり,新しいことを取り組むために,従来と異なる視点に立たなければ,先の展望は見えないようになったのである。

この問題は,雑誌を発行するという立場からすれば,弊誌もまた例外ではない。eBookやWebのメディアが注目されるなかで,今後,紙の雑誌や書籍が果たすべき役割は何かを考えなければならない。紙媒体の良さを生かすためには,読者と多くのコミニュケーションを行う必要があり,そのために電子メディア活用するのが今日的方法論なのだろう。

弊誌では印刷・DTP関連業界の交流の場として,プリンターズサークルの掲示板を運用してきたが,それを一般にも公開する。掲示板では,印刷・DTPビジネス関連や注目される技術,話題といったテーマを設定して取り上げていきたい。プリンターズサークルを購読していない方にも自由なご意見や感想をなどをお寄せいただきたい。読者の皆様に限らず,広く印刷・DTP関連業界の情報交流の場となれば幸いである。

プリンターズサークル掲示板 http://www.jagat.or.jp/pc/

2001/12/27 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会