本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

PAGE展示会のトレンド&キーワード

PAGE展示会の規模は、過去最大の132社、678小間。展示会の入場券は、ここからオンラインでも入手可能です。今年の特徴は、力技のフルデジタル化完成。効率化はユーザの工夫しだいでもおおまかに紹介したが、ここではもう少し分野ごとにキーワードをあげて捉えてみた。各見出しをクリックすると、さらに細かい説明文があります。


■フォント

OpenTypeフォントの製品化が徐々に進んでいる.OpenTypeは90年代中頃にアドビとマイクロソフトが両者のフォントフォーマットを統一したもので,WindowsXPおよびMac OS XではOSレベルで実装され,画面表示・プリントが可能になっている.OSごとに違いがないこと,プリンタフォントの概念がないことから,文字化けの心配がなく,またAdobe1-4という文字セットを採用したProフォントでは約15000字が使用できることが大きな特徴である.昨年大日本スクリーンがヒラギノ明朝Proなど6書体を発売したことに続き,今回モリサワから7書体の発売について発表がある.

■DTP

Adobe InDesignが2.0にバージョンアップし,再び話題になるだろう.パフォーマンス向上,表組を直接編集できる機能やMicrosoft Excelの表を読み込んで編集することもできる.目次・索引機能も追加されている.透明効果の適用、カラー管理,オーバープリントプレビューなど他のAdobe製品との共通化も強化されている.DTP環境として安定したものになると従来のDTPアプリケーションからの本格的な移行があるかもしれない.また新聞業界でもDTPが採用される動きがあり,新聞製作用のDTPというジャンルができつつある. 単体のDTPソフトよりもクライアント志向でXMLベースや商品データベースと連動するものに,新たな開発が多く見受けられるようになった.

■画像

Adobe Illustrator10が発売になり主にWeb制作向けの機能が充実している.一眼レフ・デジタルカメラでは,出版・報道などのプロユースで連写機能など操作性重視で,従来のレンズが使用できるものが出品されている.カラースキャナはフラットベッド型で,CCDの移動距離を最短にし稼動効率をアップするXY技術を採用したものなど,効率化を謳ったモデルが多く出品されている.

■カラーマネジメント・カラープルーフ

カラー出力・カラープルーフと併せて普及しつつある.応用分野は,キャリブレーション可能なモニタや,分光光度計や色彩計を使いICCプロファイルを作成編集するツール,ICCプロファイルを反映させるソフトRIP,カラープルーフを出力するデバイスなどがある.カラープルーフを出力するデバイスとしては,カラープルーフ専用で網点を再現させるDDCPタイプのものから,比較的安価で普及しているインキジェットプリンタやカラーコピー機がある.CTPが普及期に入ってきたこと,通信インフラが急速に整ってきたこと,また雑誌広告の電子送稿が実用化されつつあることなど,一気にリモートプルーフが一般化する兆しを見せている.

■PDF vs. 1bit TIFF

プリプレスベンダーが提案しているPDFワークフローとは,DTPによるレイアウト編集以降のRIP・面付け・修正・差替え・プレート出力をPDFベースで管理し,自動化するというシステムだが,並行してRIP後のデータを1bit TIFF形式で扱うというワークフローが数社から出品されている.RIP後のデータなので出力エラーが存在しないという信頼性,専用のデータ圧縮伸張ツールによりネットワーク転送が容易になったこと,面付け・殖版・検版の手段としても利用可能なことなどメリットが多く実用性が高い.またRIP後のデータからインキジェットプリンタへのプルーフ出力をおこなうツールや,インキ量を算出しCIP3準拠のPPFデータを生成するツールもある.

■CTP

CTPは各社から,最新の機種が出品されている.全体として高速化が図られている.

■デジタルプレス

プリントオンデマンドを実現するためのデジタルプレスがいくつも出品されている.モノクロでは電子写真方式の高速タイプのものがある.カラーのデジタルプレスではオンプレスCTPタイプでオフセット印刷できるものが定着しつつある.従来の生産設備の置き換えのみならず,特定の業務や用途に特化したフロー構築をすることで大きなメリットを生む可能性がある.

■IT化

WEB上で制作印刷会社とクライアント企業での商品管理や画像管理など,情報共有をおこなうサービスが登場している.制作印刷会社がこのサービス自体を付加価値として,クライアント企業との結合を密接にするケースや,通信インフラとしてサービス提供をおこなうケースとがある.クライアント企業がWebと印刷物で活発な情報発信をおこなう必然性があり,積極的なデジタルアセットマネジメント(DAM)を構築する場合でなければ,大きなメリットは生まれないだろう.

そのほかには,XMLでのデータベース構築のためのツール類,e-ラーニングやナレッジマネジメントとしてXMLベースのデータベースを構築し,Web配信と印刷物制作を効率化した事例を紹介しているシステムベンダーもある.

詳細は,T&G会報176号にPAGE2002プリビューとしてまとめられていて、この冊子はDTPエキスパートコーナーで配布(先着順。売切れ御免)されるので,ご覧いただきたい.

2002/02/04 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会