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アプリのバックエンドは情報連携ができる技術へ向かう

ビジネスを行う上でIT利用が検討されているが、e-ビジネスとかBtoBなどと呼ばれる仕組みを支えるシステム技術の動向について、今どのような動きや方向性がでて来ているのかをPAGE2002の2月8日のセッション「バックエンド技術動向」では取り上げている。このセッションでは、日本アイー・ビー・エム(株)東京基礎研究所の小坂一也氏がモデレータを行い、スピーカとしては、マイクロソフト(株)デベロッパー・マーケティング本部の熊谷恒治氏と日立ソフトウェアエンジニアリング(株)インターネットビジネス推進部の河村嘉之氏で行われた。

印刷会社も顧客側企業でも、コンテンツがデジタル化されているように、企業内情報もデジタル化が進められている。しかしその進め方は、営業支援システムとか受発注管理システムとか、在庫管理、販売管理などどばらばらなケースが多い。またBtoBを行う上でも、A社とB社が接続してビジネスを始めても、C社と接続するときには、またC社用のシステムを作るケースが多かった。このように社内システムもばらばらで、BtoBのシステムもばらばらでは、これからのIT利用に膨大の費用や労力がかかってしまう。

これからのBtoBや社内システムの統合などを考えると、システム同士が簡単に連携して自動化され業務が流れて行く仕組みが要求されてくる。このような背景から、コンピュータシステム間を簡単に連携していく仕組みが求められ、その結果としてXMLが注目されていろいろな技術が出てきている。

SOAPがそのひとつである。今社内システムを外注先から参照したり、入力したりするためにインターネットとWEBを利用した仕組みで行われている。今EDIと呼ばれる企業間の取引情報の交換もWEB-EDIと呼ばれる仕組みになってきている。しかしこの場合には、かならず操作を行うオペレータが必要である。これを相手企業にコンピュータシステムが自動で行いたいということから、出てきている技術がSOAPである。つまりSOAPとは相手のコンピュータに情報を渡す仕組みで、その結果処理を行ってまた結果が戻ってくる。つまり受発注項目は何かを受け取って、受発注項目を埋めて送り返せば自動で発注できるわけである。これを実現する仕組みがSOAPでXMLで記述されたものである。このような仕組みを利用して行われるサービスがWEBサービスである。

ではこのSOAPとは何かというと、メッセージを伝える封筒のようなものである。要するにこれは中身を入れておくもので、どのように伝えるか規定されていない。このためどのような方法であれ、このSOAPにより伝えられる情報を元に、システム同士がコミュニケーションを行う。これがWEBサービスの仕組みである。

しかし今どのようなサービスが存在するかがわからない。このためどのようなサービスが存在するかを管理する仕組みがUDDIである。つまりサービスの電話帳みたいなものである。そしてこの電話帳にサービス内容を登録する仕組むがWSDLと呼ばれるものである。この3つが今WEBサービスを支える仕組みとして注目されており、いろいろな所からアプローチが行われて、そしてそれを牽引している企業がアイ・ビー・エムとマイクロソフトのソフトウェアの2大巨人である。そのため皆この仕組みは成功するであろうと期待されている。

ではWEBサービスの実際の利用事例にはどのような事があるのか。例えば辞書サービスのWEBサービスがある。これをどのように利用するのかというと、辞書サービスのサイトがあり、そこに行って辞書検索してと言うのではなく、自社のアプリケーションに辞書機能を付けてしまうのである。つまり自分のエディターに辞書メニューを付けて探すとか、用語に辞書を張り付けるなどが可能になる。利用する側の意図で利用できるのがWEBサービスで、WEBのサイトではない。これは辞書を提供する側で、辞書サービスをWEBサービスにしてあるため、SOAPを利用して利用する側が接続して利用している。

このような接続には、BtoBの範囲で数多く要求が出てくる。例えば、BtoBの発注側では見積を取って発注を行う場合、見積を取るというWEBサービスがあり、発注を行うというWEBサービスが考えられる。ひとつの機能毎に接続が可能でしかも企業間で行える。これが期待される理由でもある。一つの業務の流れには複数のアクションで構成されるが、これがWEBサービスで接続されしかもそれぞれ機能に特価したサービスと接続して業務を流すことが可能になる。例えば、購買を行うのに物を発注して、決済を行って、配送を行ってもらうような場合、これらが全て別の企業のWEBサービスを受けながら流れていく場合がそうである。

では、何故WEBサービスが便利かというと、例えば一つ物を購入する際、複数の企業から見積を取る時に、それぞれが全く同じようにシステムを作らないと、今までは複数企業から見積をとって比較できなかった。これがWEBサービスを利用すると、システムが同じでなくてもXMLで内容が定義されているため、情報を合わせることができ見積の比較を行える。さらに細かい部分では、システムが相手のシステムが何であれSOAPにのっとっていればコミュニケーションが行える。これがメリットで注目されていいる。

しかしこのようなBtoBの利用以外でも、注目されている点がある。それは社内システムがばらばらの場合、システム間で情報交換する事が可能になる。今までは、それぞれ作り込みを行ったベンダーが特注で接続を行うことしかできなかった。これがWEBサービスのインターフェースを持てば、中身はXMLなので解析が行え意味を合わせて情報交換が可能になる。これは在庫管理システムと販売管理システムが別のシステムでも情報連携ができるようになることを意味する。このように今システム作りの情報のインターフェースとしてWEBサービスが注目されている、今までのWEBアプリケーションのような人が操作するインターフェースから、コンピュータとコンピュータが自動で連携して業務の流れが改善されていくことが可能になる。そのためいろいろなアプリケーションがWEBサービスのインターフェースを持ってくると思われる。

このセッションでは、このような仕組みの概念について、小坂氏から、また今WEBサービスがどのように利用されており、今後の可能性について熊谷氏からお話があり、またいろいろなシステム間でWEBサービスの連携がうまく動作して本当に使えるようになってきているのかを河村氏からお話があった。(抜粋資料PDF)

2002/02/26 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会