ニュートレンドインタビューの第4回目は,株式会社リコー 画像システム事業本部 商品企画室長 轡田正郷氏にご登場いただき,同社の方向性についてお伺いした。同社は,コンピュータの情報と,人間が直感的に理解しやすいイメージ情報をつなぐデジタル画像処理を駆使して,コミュニケーションを豊かにする製品,サービス,総合的な環境を提供するとしている。
***株式会社リコーは,1936年理研感光紙株式会社として設立されたのがスタートで,1963年に現社名となっています。当社の経営理念の中で,私たちの使命は「人と情報のかかわりの中で,世の中の役に立つ新しい価値を生み出し,提供しつづける」とさせていただいております。
1946年リコー三愛グループの創業者市村清が「三愛精神」を上梓,創業以来,企業風土としてリコーには社会的責任を果たすという意識が強くあり,社会的活動,環境活動を積極的に行ってきています。
環境活動では,環境と経営を同軸のものとして捉え,経済効率の高い「環境経営」の実現に向けた活動を展開してきています。おかげさまで,ドイツのエコム社が実施した社会的責任格付で世界第1位の評価をいただくことができました。
さて,リコーの事業の主流は,これまでは紙に出力するというところにありましたが,最近は紙にある情報を電子化する,電子化されている情報をより扱いやすい形に変換するというところに移ってきています。
リコーがいま進めているのは,絵や写真・文字・数字などのイメージ情報を,誰もが簡単に加工・処理したり,ネットワークで思いのままにコミュニケーションできる環境作りです。
このコンセプトを具現化する製品として,新世代デジタルネットワーク融合機「imagio Neoシリーズ」をリリースしています。ネットワークプリンタ・スキャナ,ファクシミリ,コピー機能を備えたデジタルカラー融合機で,紙文書と電子データを自在に変換するドキュメントゲートウエイとしてご活用いただくことで,ドキュメントの入出力から共有,管理までを効率化することができるようになっています。また,読み取った紙原稿を直接電子メールで送ることができ(スキャン to Eメール),情報伝達の効率化や通信コストの削減が実現できるものとなっています。
リコーには,お客様が本当に望まれているサービスは何か,それを把握し,私どもが的確に応えさせていただく,そのための仕組みが作られています。商品を購入していただくと,直接お伺いしてご利用後のご意見をいただくということから,責任者の方へのアンケート調査,状況によっては,設計部門の若手,リーダーや部長クラスが訪問させていただくこともあります。時には経営トップが,サービスマンに1日同行するということも行われています。
最近,海外でM&Aやアライアンスにより事業展開を積極的に進めてきましたが,この場合でも現地のお客様のことを知るということは非常に重要です。地域の特性や環境,お客様に合わせて商品を作らなくてはなりません。お客様にとって最も効果的な形で商品をお届けしなければなりません。商品を作る,販売する,サポートするという一連の流れが,それぞれの地域で完結できる体制を目指しています。
複写は原稿を単純に複製するだけです。1部だけコピーするということもあります。複製されたものが良いか悪いかを問われるだけで,原稿の内容に対する責任は何も負いません。このような複写機ビジネスから見ると,原稿に対する責任をできるだけ軽くすることが,オンデマンド・ビジネスを成功させる一つの切り口になるのではないかと思っています。
ビジネスコミュニケーションが進化する中で,紙によるコミュニケーションは,プリントオンデマンドがキーになると思っています。そこでは,複写機業界という言葉もなくなって,複写機,プリンタ,ファクシミリさらには印刷機も含めて,紙に情報を出力する業界となり,紙に出力するということを,いかに良いものを早く,安価に提供できるかの競争になると思っています。
リコーでは,モノクロのオンデマンド・プリンティング・マシンとして「imagio MF105ProU」をリリースしています。毎分105枚(A4ヨコ)の高速機で,RP Print Service(オプション)を利用することで最大40台のマシンを一括コントロール,ジョブの並行および集中作業などを適切に指示でき,大量文書処理マシンとして最大限有効活用していただくことが可能となっています。
また,この6月には,A3カラーレーザプリンタ「IPSiO Color 7100」を発売しました。毎分24枚の高速カラー出力に加え,フィニッシャー対応による高生産性を備えており,チラシ,カタログ,報告書など,大量のカラードキュメントを高速に出力するカラーオンデマンドプリントを実現するものとなっています。
リコーからご提供させていただく製品,ソリューションが,皆様方の新たな競争力となりますことを願っています。
■出典:JAGATinfo 2002年7月号
2002/08/14 00:00:00