第5回目のニュートレンドインタビューは,日本オセ株式会社 取締役営業本部長 ギド・ファン・プラーグ氏にご登場いただき,同社の事業展開の方向についてお伺いした。オセ社は,高度な情報共有を望むプロフェッショナルユーザに対し,製品やサービスの提供を通じ,さまざまな文書情報に関するソリューションを,世界レベルで提供している多国籍企業グループである。商業印刷,複写業などの業務用プリントを主要ターゲットに事業展開を図っている。
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オセは,大判プリンティングシステム,ドキュメントプリンティングシステム,プロダクションプリンティングシステムの3事業部門により構成され,それぞれ,開発・製造・販売・ビジネスサービスを通じて,プロユースにふさわしい高度なソリューションを提供しています。オセの組織体制は,その3つの事業部門の下にそれぞれ2つのビジネスグループをおいています(下図参照)。
ビジネスグループの左側は現在の収入源となっている事業分野であり,右側には今後の市場への対応,成長が期待される戦略事業領域で,それぞれ経営資源の投資対象を絞った事業展開を図っております。
現在,各事業分野における国際的な市場シェアはいずれも高く,大判デジタルでは市場シェア第1位,プロダクションプリンティングでは,3大メーカーの一角を占めており,ドキュメントプリンティングでも,欧州の15%を占めるに至っております。
高い信頼性や生産性で,国際的な評価を受けているオセのハードウエア製品,TDSシリーズに加えて,デジタル化に伴う入出力環境における図面データの配布や保存を一括管理するソフトウエアや,業務フローそのものの改善を診断するコンサルティングやトレーニングなどのビジネスサービスを商品ラインナップの中枢に据えて,包括的なソリューション提案を推進しています。
オセは,今年で設立125周年の歴史のある企業です。ジアゾ複写技術の特許開発を手始めに,欧米のコピー分野を中心に発展してまいりました。現在,複写・印刷業務の主流がデジタル化に推移していく中で,オセの複写分野の国際的な知見と,旧エヌエス・カルコンプの国内デジタル分野における蓄積が合致することで,ドキュメントに関するさまざまなお客さまの要望にこたえる形で,全く新しいデジタルソリューションを提供していくことができると考えております。
オセの主力事業の一つとして,サプライ事業があります。トナーやインクはもちろん,同業他社の中で,唯一,メディア製品を自社で開発・製造しています。一部の製品は,競合他社のハードウエアにも採用されているほどで,なかでも,環境先進国である欧州各国の環境基準をクリアした,無塩素漂白紙(ECF/TEF)は,環境に配慮した独自の製品として,国内市場でも評価されています。
これらの印刷拠点は,デジタルデータ高速配信ネットワークで結ばれ,高速印刷機「Digital Newspress 8000(Demandstream 8000に折り機などの後処理の機器を接続したシステム)」を使用して,国際間で新聞を同時発行できる仕組みとなっています。オセは,世界500カ所の印刷所を結ぶグローバルネットワークを構築することを目標としています。このネットワーク網は,印刷業界にオンライン印刷・オンデマンド印刷の事業展開のソリューションをご提供できるものになると考えています。
カラー印刷市場に向けては,「Oc・CPS700」をリリースしています。オセの最新のカラーテクノロジーを投入,7色(CMYK+RGB)印刷に対応,印刷ジョブのスタートから刷了まで安定した色再現を実現するキャリブレーション自動補正機能を搭載しています。印刷物をデータで配信して,最適地で必要な部数だけカラー印刷するというような,オンデマンド印刷には最もふさわしいプリンタとなっています。
ブロードバンドなど大容量ネットワークの普及によって,企業間取引や業務プロセス,情報やドキュメントの処理などが大きく変革されようとしています。急激なパラダイムシフトのなかで,効率的な文書管理は,情報や知的資産を共有し,より効率的な生産活動へと結びつけていくため,これまでになく重要性を増してきています。
オセは,ドキュメントに関するあらゆるソリューションを提供する企業として,ドキュメント・マネジメントを完全に把握するためのコンサルティングとソリューションをご提供させていただいております。オセは,「印刷」を業務とされているプロフェッショナルの方々に,ドキュメンテーションを始めとして,新聞,出版から商業印刷に至るまで,情報コミュニケーションに関わるマネジメントとアウトプットのソリューションをご提供させていただきます。
■JAGAT info 2002年8月号
2002/08/22 00:00:00