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技術変化の中で、攻めの姿勢で仕事に取り組む

◆(株)西日本新聞印刷 福田 広祥

 工業高校を卒業した私は,地元の印刷会社に就職しました。それが現在も勤めている「西印」です。
入社した私が短い研修を終え,初めに配属されたのは「印刷部」でした。機種は枚葉オフセット4色機。ここで,見当・インキ量の調整,インキ・PS版の化学的特性,用紙の種類・サイズなど印刷のイロハを学びました。
 2番目の配属先は「画像部」です。
 ここで担当したのは,カラー製版システムです。クローズドな環境の旧来型のシステムでした。ここでは版下からのカラー製版,網点フィルム出力のメカニズムなど,プリプレスの基礎を学びました。その後,同じ画像部内のモノクロスキャナ担当になり,網濃度と印面の関係や解像度とスクリーン線数の関係を学びました。
 そして3番目の配属先「制作部」へと来ました。今では画像部と統合され,「システム制作部」と名称を変更しましたが,そこでMacintoshでのDTPに出会いました。高校時代に「第2種情報処理技術者」を取得していたこともあり,コンピュータには少々自信がある私には,最適の部署だと思いました。初めのうちは,版下用の部品作りなどからのスタートでしたが,次第にMacを核にした制作に移行していきました。
 そして,PostScript環境でのDTPからフィルム出力を中心に担当して,各種トラブルと格闘しながら現在に至っています。
 そんなある日,後輩の「福田さんも一緒に受けましょうよ〜」という一言から,私のDTPエキスパートへのチャレンジが始まりました。認証制度の存在は知ってはいましたが,まさか自分が受験するとは思ってもいなかったので戸惑ってしまいました。まずは展示会で頂いたカリキュラムを引っ張り出して勉強開始です。

 初めのうちは積極的ではなかった私だったのですが,受験予定者で行った模擬試験の結果が思いのほか良かったので,本腰を入れて勉強を続行しました。
 そこでぶつかった難題が「色」に関する分野です。
 仕事の現場では,専門のスタッフがスキャニング・レタッチをしているので,任せっきりになっていたのです。難しい専門用語もたくさん出てきます。
 ところが勉強していくと,今まであいまいでバラバラだった知識が,連結していくように理解できました。これは,以前いた部署での経験を元に前後の工程を踏まえた考え方ができるようになった証拠だと思います。
 できる限りの準備をして臨んだ筆記試験・課題作成,そして無事合格。あらかじめWebで合格を知っていたのですが,合格通知と認定証が届くと感無量でした。

 合格後,仕事の内容には特に変化がありませんが,自信をもって作業に取り掛かることができるようになったと感じています。
 何よりも,自分がしている作業の意味を理解して取り組めることはミスやロスの低減につながり,仕事に対して責任とやりがいを感じることができます。これは私にとって大きな力になると信じています。
 最近では,データでの入稿が増え,パソコンの普及とともに作成者の間口も広がり,いろいろなデータが来ます。発生するトラブルも多種多様です。さらに,ハードウエア・ソフトウエアを筆頭に,次々に新しいものが登場します。ネットワークなどのテクノロジーも飛躍的に進歩しています。
 もはや,マニュアルどおりに作業をしていればよいといった考え方では通用しません。マニュアルが完成するころには,既に過去の技術になってしまう恐れもあるのです。受け身の姿勢ではいつまでたっても時代遅れのままになってしまいます。
 このような状況だからこそ,私たちDTPエキスパートが先頭に立ち,効率の良い方法,安定した方法を模索し続けていく必要があるのではないでしょうか。
 まだまだ未熟なエキスパートですが,以上のことを念頭にいつでも前向きな姿勢で仕事に取り組んでいこうと思います。

 
月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」9月号


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2002/08/31 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会