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職務分掌・職能資格基準書モデル完成!

〜JAGAT インタビュー〜

質問:JAGAT 常務 山内亮一
回答:JAGAT 常務 斎藤不二男

Q:今回、印刷業向けの職務分掌・職能資格基準書モデルができたが、そもそもこれを作ったのは何故か?

斎藤:以前に、職能資格制度についてアンケート調査を行った。結果として、今後の経営環境の中で、職能資格制度の導入、運用の必要性を感じている企業が多いということとと、規模の大きな企業では8割近い企業で導入しているが、うまく運用できないという問題が明らかになったからである。理由は職能要件が業務に対し具体性が欠ける、あるいは明確でない事だった。
実際に、細かな職務分掌・職能資格基準を作ろうとすると大変な手間と時間がかかるので、お互いに情報を持ち寄って作ることができればそれに越したことはないと考え、会員企業の方々に声かけをさせていただき、共同研究会という形で作ることにした。

Q:今回の研究会の成果はどのようなものか?

斎藤:営業、プリプレス、印刷、後加工部門の一部と生産管理について、遂行業務とそれに対応する職能要件、すなわち必要な技能と専門知識、一般知識を整理した。総務部門については一般的なものが利用できるので省いた。後加工部門についてはかなり工程が多様なので、研究会参加企業で共通する断裁、折、中トジ工程についてまとめた。他の工程については、この3つの後加工工程を参考にして各社で必要に応じて作ることにした。
内容面では、職能要件が非常に細かな単位で整理できたところが大きな成果である。制度は導入したが運用がうまく行かない企業ではこの細かさがない点が問題であった。

Q:今回作った職務分掌は、人事評価に充分に使い得るものなのか?まだ、足りないものがあるのか?

斎藤:昇格のための評価については、職能要件がしっかりできているのでそのまま使えると思う。昇給に関しては、非常に細かくなっているので、ある程度大括りにしたほうが使い易いと思っている。勿論評価基準は運用する各社が決めれば良い。
研究会を終わって、参加企業の感想を聞くと、人事評価への利用ということ以外に、各人の目標設定や教育計画などに有効に使えるという、プラスアルファの成果も得られた。

Q:参加各社間で、最も大きな違いがあったところ、ほとんど差がなかったところは何か?

斎藤:生産管理、営業、プリプレスは、各社ごとでそれぞれが担当する範囲が異なるということがあった。例えば、生産管理における外注の範囲、営業の支援部隊の機能、あるいはプリプレス工程でどの程度までデザインを行うかといった違いである。しかし、それは、遂行業務をどの部署に当てはめるかということだから、問題ということではない。印刷や後加工については企業による差はなかった。

Q:今後は、IT化によって組織編成や役割分担がかなり変わってくることになるが、そのような変化があっても、今回まとめたものは使えるのか?

斎藤:問題ない。果たすべき遂行業務の当てはめを、組織、役割分担の変更に合わせて変えればいいだけである。

Q:今回の成果を、今後どのように業界に役立てていくのか?

斎藤:完成度はまだ完全ではないので今後更に充実させて行く。しかし骨格が出来たので現段階でもひとつは、JAGATの教育事業をこれに照らして、改めて体系化するために使う。
会員企業の方々がご利用したいということであれば、コンサルティング資料として利用していく。

山内:ありがとうございました。

2002/10/13 00:00:00


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