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1130人が合格!18期DTPエキスパート認証試験結果

10月18日に,当ホームページにおいて8月18日に実施した第18期DTPエキスパート認証試験の結果を発表した。総受験者2543人のうち合格者は過去最多の1130人,合格率は44.5%で最近では1999年3月に実施した11期試験に次いで高く,1回の試験で1000人を超える合格者が出たのは初めてである。これで累計の合格者数は9618人となり,来年には1万人を突破することがほぼ確実となった。
 また,同時期に実施した更新試験は,2期,6期,10期および14期のDTPエキスパート1584人が対象であったが,1346人(申請率85.0%)が受験し1140人が合格した。2期の人はこれで4回目の資格更新である。

18期試験採点結果
 今期の試験は,1回で試験立ち上げの1期〜6期までの6回分の受験者とほぼ同等の人数が受験しているが,面白いことに合格者数・合格率も同様の結果となった。DTPエキスパートが1000人を超えるのにスタートから3年を要したものが,いまや1回の試験で輩出するまでになったことは,この間わずか8年でありながら隔世の感がある。
 16期,17期と続けて30%台に落ち込んだ合格率は再び40%台に回復したものの,全体の成績を見ると必ずしも良いわけではなく,平均点が合格ラインを上回ったのはカテゴリー2(発注側知識)だけであった。これは不合格者の成績が非常に悪かったためで,不合格者1413人のうち26.5%に当たる374人が全カテゴリーで合格ラインに達しなかった。合格者と不合格者の成績ギャップが大きいのもこの試験の特徴であるが,その傾向がさらに顕著になっており両者の平均点の差が前期は153.9点であったものが166.2点とさらに広がった。
 唯一良かったカテゴリー2は,ここで不合格になる人数が前期までは3期連続で最も多かった分野であったが,受験者のほうで相当な対策を立てて克服してきたようだ。逆にこれまでは比較的成績の良かったカテゴリー4(色)で初めて平均点が合格ラインを下回り,ここで落とす人が最も多い結果となった。色の分野の問題は,'プロセスインキの掛け合わせで得られる色'といった網パーセントの話から,カラーマネジメントを背景にして'CIEカラースペース'だとか'色差ΔE'といった科学的な話にシフトしてきており,そのことが影響しているかもしれない。

 筆記試験だけの合格率は47.6%でその時点では1210人が合格していたが,課題で51人が合格レベルに達せず,不提出の29人を加えて80人が課題試験で不合格になってしまった。ここ数期の試験では課題の成績は安定して良くなってきており,前回は課題の合格率は89.9%で28人しか落ちなかったが,今期は合格率も86.8%に下がった。印刷会社の受験者を部門別で見ると営業の人が最も多く,オペレーション経験がない,時間がないなどの事情によって手を抜いてしまった結果が表れたのかもしれない。
 また,今期はコピーに近い作品が目立ち,20人が不正コピーと判断され不合格になった。不正コピーと判断されるものには,文字どおりのコピー作品だけではなく,レイアウトしたデータをそのままデジタルコピーして,フォントだけを変えたり色や写真を変えただけのほとんど手を加えていないものも含まれる。特に企業受験が増えた昨今,会社の同僚間で課題に取り組もうという時に上記のような間違いを起こしがちなので,十分に注意してほしい。
 なお,業種別や年齢別では成績に大きな差は見られなかった。合格者の平均年齢は32.0歳,最も若い合格者は19歳で最高齢合格者は61歳であった。

更新試験結果
 更新試験は今回も対象者の8割を超える人が受験したが,結果は1140人が合格。更新を希望しなかった人,不合格となった人を除くと約7割の人が資格更新し,引き続き今後2年間認証されることになった。最終的には受験延期申請者(64人)および再受験を希望する人がいるので,更新率はもう少しアップし,8割弱程度になるであろう。1回の対象者が1500人を超えるまで拡大してきた更新試験であるが,更新率や合格率,早い期に取得して複数回更新を経た人ほど合格率が高いといった傾向は当初より変化はない。
 なお次回の更新試験は,3期・7期・11期・15期のエキスパート1858人が対象となる。

カリキュラム改訂と次回試験
  DTPエキスパートカリキュラムは1994年に第1版を発行,1996年に大幅に改訂した第2版となり,1998年の第3版を経て2000年に現行の第4版となった。現実のDTP環境の急テンポな変化を踏まえて,当初より2年ごとに見直しをする方針を立てており,今年はその改訂時期に当たる。ただし,今回の改訂は第2版で行った構成や項目の大幅な変更によるほぼ全面的な書き直しにはならず,第3版,4版の時と同様,試験ごとに発表してきた新項目の追加と不要となった項目の整理といった編集レベルの作業になる予定である。
 従って,次回第19期試験(2003年3月16日,東京・大阪・名古屋・福岡)よりこの改訂第5版のカリキュラムに基づいて筆記試験を出題するが,改訂版が発表されるまでは現行の第4版で勉強を進めていても一向に差し支えない。
 改訂第5版のカリキュラムは,12月には冊子を発行し,当ホームページにも掲載する予定である。

 

2002/11/15 00:00:00


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