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視覚情報で重要度が高まる動画情報

スペースシャトルの追突や韓国の地下鉄火災など事故などの報道をみてもわかるように,事件をよりリアルに表現する情報はビデオしかない。視覚情報の中で,ビデオの比重は高く,ビジネスでも教育の場でも映像情報は世の中で蓄積されてきている。それを利用することが今までは億の単位がかかっていたが,昨今の技術革新で非常に安くなっている。

これまで,映像編集には編集機材からデータのエンコーディングのシステムまでそろえると数千万から億単位の設備がかかっていた。また,映像データは大容量となるため,インターネットで配信しても,限られた高速回線のユーザが対象であったし,デジタルビデオはDVDなどのパッケージや、デジタル映画などの限られた設備で提供されてきた。

しかし,昨今の急速なインターネットの常時接続・高速通信の普及と、映像の圧縮技術の進歩により映像データの利用が身近になっている。最近注目されるeラーニングでは,講演した動画をとりこんで,すぐにネットに配信できるシステムが安価に提供され始めている。全国に拠点を置く企業では,各事業所に社長の訓示や社内研修の映像を配信したり,TV会議を利用するなど,映像配信をコスト削減の手段として利用しつつある。また,高機能化が進む携帯電話には映画の予告編などが近いうちにストリーミングで配信されていくだろう。

このような流れにおいては,Web制作をビジネスにしている会社や,新たなマーケティング戦略を検討している企業では,テキストや画像のように,Webで動画を扱うことは避けて通れない。特に,ストリーミングを前提とした映像配信の制作から配信までのワークフローの基本的な知識は重要である。

動画像を配信するにあたり,ストリーミングの特徴やフォーマットの種類、エンコード、データ納品時の最適スペックなど基本的な知識は,制作をする上において理解しておく必要がある。 ストリーミング技術の登場により,映像データはダウンロード再生ではなく,リアルタイムで見てもらえるようになった。つまり,データをハードディスクに残さずに配信できる。これにより,Real AudioやQuick Time,Windows Media Technologyなどのストリーミング技術が広まった。

一般的な映像制作フローは,Windows環境においてはAdobe Premiere,Macintosh環境においてはFinal Cut Proに映像を取り込んで編集される。できあがったデータはエンコード関連のアプリケーションを介して,ナローバンド用やブロード用携帯端末用のデータにし,Webへデータをアップする。ただし,3つのストリーミング技術には互換性が無いため,どれを採用するかといった課題や,エンコーディングについても様々なノウハウがある。また,サウンドクリップとビデオクリップをタイムベースで同期取ったり、ユーザーの接続帯域に応じてコンテンツを配信できるSMILというマークアップ言語も利用が広まっている。

これから視覚が必要な分野では映像は必須である。企業がマーケティング戦略や情報戦略を検討する際に,今後ますます動画データの利用は増えていくだろう。情報・出版・印刷などメディアビジネスに関係する企業は,自社制作やアウトソーシングも含めて映像を盛り込んだメディアの提案できるようにならないといけない。

2003/02/20 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会