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自分のDTPのキャパシティを広げたい

◆第一印刷(株) 世良 美有紀

私が,DTPに関わるようになったのは,12年間勤めていた会社を退職した後のことです。それまで,全くDTPとは無関係で,ある車の設計の仕事をしていました。DTPへの転職の動機は,自分の製作した作品が人の目に触れる雑誌やポスターなどのデザインの仕事をしたいと思ったからです。このころの夢は大きく,フリーのイラストレーターとして働きたいと思っていました。
自分の身の周りにはDTPの仕事をしている人もなく,何の情報も知識もないまま,この業界に踏み込みました。求人広告などを見るとMac操作ができるだけでは就職は難しいと思い,Mac操作を教えてくれる学校へ行くとともに,DTPエキスパート認証試験を受けることを決意しました。
試験を受ける前に,今の印刷会社に勤めることが決まりました。毎日覚えることばかりで,エキスパート試験問題は,本を読むだけでは理解できず,Mac用語辞典,DTP&印刷事典を調べても分からないところを,会社では質問ばかりしていました。印刷会社に勤めたメリットもあって,現物を前にして説明をしていただくほど試験に協力してもらい,合格することができました。

そして現在,実務経験が1年未満の私が,資格手当てを頂き難しい仕事をさせてもらうようになったのも,試験を受けたことによってDTPの知識が短期間で取得でき,経験不足のハンデを補えたからではないかと思っています。自分で言うのも何ですが,かなり勉強しました。
現在,Macオペレータとして働いており,会社案内・パンフレット・ポスター・チラシ・社内報などを製作しています。クライアントに気に入られるものを製作するために,日々努力をしています。去年の冬,会社の奨めもあり印刷物デザイン設計コースの通信教育を受けました。それまでは見本となるデザインを探し,レイアウトをまねるやり方で製作することが多かったのですが,そのレイアウトにもデザインの基礎にのっとっていることが通信を受けることによって気づきました。
まず最初に人間の目が注目する場所,目の動き方,飽きのこないデザインetc.を配慮し,まねるのではなく自分のものとしてのデザインを製作するようになりました。しかし,出力,印刷後工程を踏まえた上でのデザインになっていないということでやり直すことも度々あり,DTPは奥が深いと感じています。また,4色以上の印刷ものになると,配色に費やす時間を掛けがちで,悩みに悩み選んだ配色でも,病院向け,法人向け,老人向けに好まれる色があることも知り,常に印刷されたものと見比べ色や写真の画像処理の仕方を工夫しています。

今年の4月より広報を当社にて印刷することに決まり,私が広報の製作担当の1人になりました。広報の仕事は当社にとって2度目であり,前回は広報コンテストで伊勢崎市始まって以来,初の2位を獲得するほどの実績があり,伊勢崎市の広報はかなりレベルが高くなっているのです。月に2回発行され,ページ数も20ページから30ページで印刷部数もかなり多いので,早さと技術が問われ失敗の許されない仕事でもあるのです。早さは慣れれば身に着くものだと思っているのですが,技術(センス)は意識しなければ養われないので,時間の少なさにイラダチを感じ,ひらめきが出ない自分に力不足を感じる毎日です。見やすさ,分かりやすさを重点に興味のわく広報を作るために,前回広報コンテストにて2位を獲得した当社のイメージを損なわないためにも努力をし,今度は1位を獲得することを目標にしています。また,広報を印刷だけでなく,ホームページに載せるためにデータ処理をするのも私たちの仕事なのです。

テクノロジーの目まぐるしい進化によりDTPの範囲もかなり広くなる一方で,ついていくのに苦労している私ですが,時代に取り残されないために,業務以外のことで取得しておかなければならないことも勉強し,私のDTPキャパシティを広げていこうと思っています。そして勉強したことを忘れないために,常に本を広げて確認をしているのです。  

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2003年6月号


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2003/06/07 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会