本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

出版・印刷統合型XMLパブリッシングソリューション「ProjectM」

従来にない制作環境を提供するXMLをベースにした出版,印刷向けワークフローソリューション「ProjectM」について,販売予定であるデジタルコミュニケーションズ取締役 野田一宏氏に伺った。

ProjectMの概要
 ProjectMは,主にマニュアル,雑誌などのコンテンツを制作するためのモジュールの集まりで,XML Publishing Solutionである。ProjectMの「M」は,manual,magazineなどのMを意味する。
核となる考え方は,まずスタンダードであること。「スタンダード」の意味は,XML,PDF,OpenTypeフォント,これら3つのオープンソース,スタンダードフォーマットを用いて,システムを構築する点である。アプリケーションにXMLを駆使し,アプリケーション特有のデータ構造を少なくしたシステム構造となっている。また,Mac OS Xのコアテクノロジーを数多く使用しており,その上で動作するものである。
このシステムは,Mac OS XにFront Databaseというデータベースエンジンをバックグラウンドで動かして構築している。

MediaPlan & IssuePlan
 MediaPlanは異なった出版物のためのアセッツプログラムであり,制作物の企画・管理を行うものである。まず各制作部の基本形態をデータベースに登録し,毎号の可変情報を付加し,情報の共有化を図っており,多数の出版物にも対応する。
MediaPlan,IssuePlanで制作・企画されたものに対して,雑誌の記事などはXMLをフォーマットとしているので,文書の構造体が決まっていることが前提である。DTD,スキーマなどの文書構造が基軸になる。

 管理者は,媒体に関する基本情報や担当者の情報を入力するだけで,共有する情報を逐次発信できる。ユーザ名,パスワードを使いレベルや役割を決める。
現状,ファイルサーバやデータベースを中心に置いて,とりあえずデータを共有する程度の管理が多い。しかし,このシステムの使用により,工程に密接した形でそれらの管理を行うことができる。また,ユーザがどのグループ管理をしているか,ワークグループ情報の管理も可能となる。
 また,ログインパスワードでユーザを設定して,セキュリティ制御をしながらデータを作り上げることが可能である。

SendStory
 SendStoryはSendStoryServerと呼ばれるコンテンツマネジメントサーバと一緒のXMLエディタであり,データベースをとおしてSendStoryのユーザに依頼が届くものである。デザインやテンプレートの作成,DTPの作成など,DTDを基本に誌面のデザイン,要素を決め配置していくものである。
 著者は,自動インデックス付けと検索をとおして,ローカルに自身のコンピュータ上のストーリーを管理することができる。著者,編集者,デザイナーとシステム管理者間の共同の活動は,アクセス権,ワークグループ,ジョブ定義などに基づいて運用される。さらに,スタンドアローンのSendStoryクライアントは,容易なファイル共有とアップルのiDiskと互換性をもっている。 XMLエディタは多国語対応であり,1つのXMLデータを基に第2言語を追加できる。

BookAssembler
 BookAssemblerは,台割管理,進捗管理機能があり,MediaPlan,IssuePlanで決めた台割ごとの情報を再現するものである。アプリケーションはスムーズなデジタルフラットプランを特徴として,インポーズ印刷とリアルタイム生産,モニタリングのために機能をまとめてある。
 レイアウトはQurakXPressやInDesign,Illustratorなど異なったレイアウトモジュールによって生成されるページがPDFワークフロープロセスをとおして,ドラッグアンドドロップするだけで割付け作業が完了し,1つの本の中に結合される。重要なのは,すべての台割,面付け機能は,ページ,折り単位で計画,製本情報をすべてのセクションに情報提供し,CTPなどの工程を実用的なものにする。
 従来,印刷会社などでは紙に「田」の字を書いて印刷ごとの管理をシミュレートしている場合が多いが,このシステムは同様の表示が可能である。完了しているところが一見で判別できるようになっている。

eDesk
 eDeskは,コンテンツマネジメントのモジュールである。XMLEditで起動されたストーリーはチェックイン・チェックアウト,ルート,認可,バージョンコントロール,オーディットトレール,アーカイブのプロセスをとおして処理される。
 配布チャネルにより,データまたはオンラインの出版のために,Dreamweaverのようなサードパーティアプリケーションにより生成されたWebテンプレートに送られ,GoLive,またオフラインの出版のためにDesignModel,Softmagicのレイアウトアプリケーションのデザイン関連テンプレートに送られる。

 一般的にデータの管理は,ディレクトリやフォルダにユーザがデータを仕分けして,データベースに登録する。これに対してeDeskは,MediaPlanやIssuePlanから入ってきた情報を基に仕分けをする。さらに,ページ単位,担当者単位など,XML化された情報を基に,いろいろな視点からデータを見られるようにしており,工程の流れに沿ったコンテンツマネジメントができる。 また,スケジュールコントロールの保守やバージョンコントロールが可能である。

MLayout
 MLayoutは,QuarkXPressやInDesignなどのDTPアプリケーションと同じようなレイアウトソフトである。基本的な相違はDesignModelと呼ばれる概念である。それは埋め込まれたXMLタグとページすべてのデザイン関連の要素を管理するものである。
インタフェイスは特別なものは使っておらず,DTPユーザならすぐにレイアウトにかかれるようになっている。
 BookAssemblerからセクションを選択し,人をアサインしている。MLayoutで使用するデータ,テンプレート,セクション名をデータベースから取ることが可能である。アサインされている情報を基に,テンプレートであるレイアウトタイプを選んで,XMLファイルを流し込むものである。

 基本の版面に対する構成が,デザインが完了した時点でBookAssemblerと連動する。執筆されたXMLデータをMLatoutに流し込む。DTDと版面のスタイルシート,テキストボックスなどがシームレスに連動し,流し込むと同時にレイアウトが完了する。すなわち,GIM(Group Image Management)を利用して画像やXMLデータを管理運用する機能を活用し,効率を向上させる。
 このようにProjectMは,中央にプロジェクト全体のデータベースサーバがあり,常にそこにユーザがアクセスする。今までは執筆,デザインなどエディトリアルな分野とレイアウト,校正などのプリプレス分野のデータや管理などが分断されていたが,ProjectMによって統合的に管理することができる画期的なシステムである。

(テキスト&グラフィックス研究会)
JAGAT info6月号より

2003/06/20 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会