ビジネスで世界を相手にするとしても、多くの人にとって世界とはつかみどころの無いものに思われていた。しかしグローバルなIPネットの普及によって、過去には見通せなかったことが見通せるように思えてきたことが多くあり、ここに新たなビジネスフロンティアが拓けるのかもしれない。小企業が地球の反対側の企業とパートナーシップを組むようなものに限らず、輸出品は外国の誰がいつ使っているかも判るようになるなど、想像力の境界を広げなければならない。
それをもたらすのは例えばICタグである。無線技術を使うのでRFタグとも呼ばれた。無線自体は1895年のマルコーニの実用化以来の古い技術ではあるが、携帯電話はコンピュータでネット管理していて使用者がどの地区にいるか見張っているように、「いつでも、どこでも…、モバイル、ユビキタス」など新たな定義で使われる技術になった。それは携帯電話のように人が操作するものに限らず、「モノ」の管理にも使おうというところにきている。特にアフガン攻撃やイラン戦争で弾みがついた分野である。
これまで商品管理など物の移動のために使われていたバーコードに代わって、ICタグを使うと非接触かつ無人で読み取れるので、管理できる局面が非常に広がり、トータルとして管理のレベルを上げることができる。例えば駅の改札を機械読み取りの自動化にすると、「キセル」がやり難くなるように、商品にICタグをつけると万引き抑止力になると考える人もいる。これが主目的にはならないだろうが、物流管理はかなり進むだろう。
もともとICタグは25年前にバーコードを開発したGilletteやP&GらがMITとともに開発したものであり、バーコード管理のノウハウや機能向上の要求から想定されている。アメリカのスーパーであるWal-MartはGillette製品に組み込まれたICタグを利用して店舗での在庫管理や盗難管理の実験をしようとしたが、消費者保護団体の反発があって取りやめ、倉庫や物流センターに限った実験に切り替えた。
コンビニや宅配業者が独自の物流管理で成果を上げたやり方が、次は社会のインフラ化して、いろいろなところに波及するところに来ている。しかし一方で効率化の限界も見えてくることである。だがその先には消費者団体が心配するようなところにもフロンティアが広がっていくだろう。
■出典:通信&メディア研究会 会報「VEHICLE」171号(巻頭言)
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2003/07/21 00:00:00