JAGATが毎年発行する「グラフィックアーツ機材インデックス」(定価3000円、JAGAT会員には無料配布)は、印刷物制作に必要な全工程の機器材料を100余りの表に分類したもので、機材全般をみわたせるコンパクトなディレクトリとして、長年にわたって重宝がられてきた。個々の表には詳細な情報はないが、それぞれの分野の機材を扱っているメーカー・ディーラーがわかるので、問い合わせをするのが簡単にできる。
「グラフィックアーツ機材インデックス」の制作は1000余りのメーカー・ディーラーから情報を集めるので、半年ほどの期間がかかるのだが、その調査過程でグラフィックアーツ分野の技術の変化が毎年どのように起こっているのかが把握できる。とくにこの10年ほどの変化は激しいもので、デジタル機器の急速な増加と、その後の減少とソフト化という大波をこの業界はくぐってきた。
これは日本に限ったことではなく、世界的に印刷関連機材展の統合化に見るように、専用機材を用いて行っていた印刷関連の作業が、パソコン化・ソフトウェア化・ネットワーク化したからである。従来のアナログ工程での制作に比べて、パソコンは遅いとかソフトの機能が足りないという不満がなくなったわけではないが、印刷前工程の日常の仕事はほとんどDTPで行われるのがあたりまえになり、逆に特殊用途の機器として専用装置が探されることも起こるようになった。
この1年間の変化を振り返ると、デジタル化の問題点として最後まで残っていた色校正もカラープリンタで行うことが珍しくなくなったことかもしれない。印刷工程の入り口にはデジタルカメラやXMLが、出口にはCTPやオンデマンド印刷・プリンタがあるように、ついにデジタル化した制作が主流になり、アナログ的な制作や後加工は「付加価値」となりつつある。
このアナログとデジタルの逆転した状況を反映して、「グラフィックアーツ機材インデックス」の表も変更を重ね、第0章「ソフトウェア」の追加などをしてきたが、今回の「2003-2004機材インデックス」では、さらにいくつか表の統廃合を行って見出しを変更した。
第1章「文字組版 版下作成」では、従来のカラー出力機の表を「カラー出力機A2未満(DDCP含む)」と「カラー出力機A2以上(DDCP含む)」の2つに分割した。最近は、カラーカンプ、色校正、オンデマンド出力機等としてさまざまな目的で多くのカラー出力が使用されており、整理する意味で分割した。
普通紙ページプリンタを改め「高速モノクロプリンタ」を新設した。この中には、主に文字校正用に使用されているプリンタをまとめた。
また、フィルム・感光材料関係の出力や作図機関係も「イメージセッタ」「CAD・CAM 自動製図・カッティング」として合体した。
第2章「製版」では、いままで画像メイクアップ装置、CEPSインターフェース、画像サブシステムといった画像処理関係の項目もいくつかあったが、最近はどのシステム・機材も分野の区別がつきにくくなったことから「画像加工システム」と一括した。
従来からのアナログ関連の製版機材である製版カメラ、フィルムプリンタ、モノクロスキャナ、カラースキャナ装置関連機材はすべて「その他製版機材」へ編入した。
「画像データベース・ファイルサーバー」を分立させ「カラーマネージメント関連機材」と第3章に「CTP関連機材」を設けた。また「CTP関連機材」へは、グルーピング・面付けソフトも編入した。
第3章「校正・刷版」でも、従来のアナログ関連の機材であるトンボ描画機、焼枠、殖版機、刷版自動現像機、刷版自動現像機付属品を「その他刷版機材」へ編入した。
第3章の写真凸版・樹脂凸版と第5章の凸版印刷機、凸版印刷関連機材とを併せて、第5章に「凸版製版機材」「凸版印刷機材」として新設した。名刺印刷を改め「名刺・ハガキ印刷」とした。
第4章「印刷」のデジタルプリンタは最近さまざまな機種が発表され、これからも増えることが予想されるので表の項目を「デジタル印刷機」に改めた。このほかMISや管理システムの増加に対応して、第7章にもかなり手が加えられた。
「グラフィックアーツ機材インデックス」の内容は、ここ。
2003/09/10 00:00:00