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印刷物,モノ作りへの思いを再確認できた

◆太田 智子

私は現在,エンジニアリング会社の広報・宣伝部員として印刷物に関わっています。主に,自社ホームページの企画・制作管理,刊行物やパンフレットなどの企画・制作に携わっており,社内外から集まる資料の編集や画像の加工,簡単な版下の制作を行っています。
これまで知人に聞いたり,本や雑誌を読んだりと,ほぼ独学でDTPと関わっていたため,いつかは系統立てて勉強したいと考えていましたが,「DTPエキスパート」は,専門色が強く,しかも「難しそう」という印象があったため,なかなか申し込みに踏み切ることができませんでした。

今回,会社の資格取得制度に適用されたことをきっかけとして,やっと申し込んだのですが,勉強を進めるなかで,改めて自分の「印刷物を作る,モノを作るのが好き」という思いに気づくことができた気がします。
そもそもDTPとの出会いは,今をさかのぼること7年前。私は大学を卒業し,印刷会社の子会社である広告制作会社に入社しました。昔から本やデザインの世界が好きで,学生時代から広告関係を志望していました。私の職務は企画営業でしたが,事務や雑用なども含め,今思えば何でもがむしゃらにやっていました。
その中でも,特に興味をもって取り組んでいたのが,印刷物に関わる仕事です。パンフレット案の作成,素材の整理,クライアントへ確認や提案だけでなく制作管理や在庫管理まで担当したため,印刷物の誕生から納品まで,DTPに限らず,幅広い意味で印刷物に触れていました。
親会社の影響も大きかったと思います。私の携わる印刷物関連の仕事は,大半を親会社に発注しており,日頃から製作の現場が身近にありました。分からないこと,興味をもったことは何でも聞くことができる職場でした。私にとっては,印刷の世界の幅広さと奥深さを同時に経験することができる,そして印刷物に親しむには,大変恵まれた環境にいたのでした。

さて,印刷業界・広告業界での経験というベースがあるものの,勉強を始めた当初は,なかなか前に進むことができませんでした。経験のあることならともかく,未経験の分野に関しては全く知識が足りなかったからです。「あの分野も分からない」「この分野も知らない」「知っているようで実は知らないことばかりだった…」という調子で,問題集や教科書の章ごとに自己流で付けた'苦手マーク'は増える一方。「未知のことを知ろう・身に着けよう」と思って勉強できるのが理想ですが,「DTPエキスパート」の出題範囲の幅広さ,内容の濃さを恨めしく思ったことさえありました。
唯一,過去にマルチメディア検定2級に合格していたことが,自分にとって救いでした。「色彩」や「ハードディスク」「ネットワーク」関連の知識は,既に学んでおり,共通する点があったため,多少は気が楽だったという覚えがあります。
逆に共通点のないことで,不安を感じた時もありました。私の現在の職場では,通常使用しているパソコンのOSがWindowsであるため,出題分野によっては不利なのではと考えていたのです。しかし,実際に試験を受けて,特別に差を感じたということはありませんでした(関連雑誌のバックナンバーを読み返すなど一通りカバーしておいたことは功を奏しました)。そのほか,自分になじみのない分野や,どうしても暗記しなければならないことは,同じ問題を繰り返し解き,自分なりにノートにまとめたりして,乗り切りました。

最終的にはなんとか合格することができて,驚くとともに本当にホッとしました。どちらかというと,机の上での勉強が苦手なほうですので,きっと,職場で積み重ねた現場感覚と,印刷物への愛情,「モノ作り」に対する執念(?)に,助けられたのだと思っています。

現在の私は,印刷物に限らずさまざまなメディアの編集・制作に携わっていますが,「DTPエキスパート」合格は,私の自信となり,良き支えとなっています。
取引先間とのデータ取り扱い方法について,また個別のトラブルへの対応など現実的な問題はさまざまありますが,外部の方と知識を共有したり,情報交換したり,助けてもらうことによって,より良いチームワークが築けると,考えているからです。これからも,ますます努力・勉強を続けていきたいと思います。

 

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2003年10月号


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2003/10/13 00:00:00


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