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合格率53%!過去最多のDTPエキスパート誕生

8月に実施した第20期DTPエキスパート認証試験の合格者1292人を,10月17日にホームページで発表した。合格率は53.0%(受験者2440人)で,この5年間に行った10回の試験で最低だった前期の34.1%から一転し,第1期試験(1994年3月,69.8%)に次ぐ高合格率となった。
実は前期の不合格者1254人中,約4割の499人が今回再受験しており,彼らが成績を押し上げた大きな要素となったことは間違いないだろう。
受験者の過半数を超える合格者が生まれたのは第7期(1997年3月,50.8%)以来で,昨年8月の18期に続き2回目の1000人突破となり,1回の試験の合格者数としては過去最多である。DTPエキスパートは発足10年で2万8555人が受験し,1万1559人の合格者を輩出した。
また,同時期に実施した更新試験は,第4期,8期,12期および16期のDTPエキスパート1772人が対象であったが,1533人(申請率86.5%)が受験し1375人が合格した。

20期試験採点結果
今期,筆記試験の結果を見ると,合格率に現れているとおり全体平均で587.5点と満点(713点)の82.4%を満たし,5つのカテゴリーのうち4つで平均点が合格ラインを上回った。筆記試験だけの合格率は57.5%でこの時点では1402人が合格であった。
一方,課題試験だけの合格率は86.5%(提出者)で,前期の88.2%を下回りここ2年間で最も悪かった。この結果,課題だけで落とした人は110人で前回の46人から倍以上になってしまった。なお,110人のうち25人は課題が未提出であったための不合格である。
結果として最多合格者数となった1292人は平均で満点の91.2%をクリアし,合格ラインの80%を大きく上回り余裕で受かったが,不合格者の平均は70.2%と低レベルで,不合格者1148人のうち4割以上の469人は筆記試験の全カテゴリーで落としてしまっている。
筆記試験のカテゴリーで唯一平均が合格ラインを下回ったC1(DTP関連知識)は,これのみで落とした人も課題に次いで多かったが,解答用紙(マークシート)の読み取りデータを調べ,設問と照らし合わせてみた。

まず,正解率50%未満の設問数は,前期の54から33に減り,逆に正解率90%以上の設問数が175から235に増え,成績の良さを裏付けている。では具体的にどのような問題で間違うのか。正解率の悪いものは以下のとおりである。
最も悪いのは,20期に新規に加わった問題で,特に今回から出題された文章を読んで問に答える形式の問題は,第1部,第2部ともに一番最後に出題されていたため,時間不足も要因となったためか非常に悪かった。
次いで悪いのは19期に新規問題として出題されたもので,これらの新問題は参考書や模擬試験などで勉強することが難しいため,正解率が悪いものと思われる。
また,既存問題であっても問うている内容や記述を変更すると間違ってしまうケースが多い。例えば電磁波の波長の性質を問う設問で,これまで「大気中で減衰が少ないのは・・・」と聞いていたのを「減衰が多いのは・・・」と入れ換えたり,ページもの印刷仕様の設計の問題で,「A5判のページをA全の印刷用紙片面に・・・」という前提を「B6判のページをB全の・・・」というように変えると,正解率が悪くなっていることがはっきりした。DTPエキスパート試験は丸暗記で臨めば何とかなるとの批判を耳にすることがあるが,上記のように内容を理解せず答えだけを覚えていると,応用が利かず間違ってしまうということである。

さて,今回の新規設問数はカテゴリー1に最も多くあり,そのため過半数以上の人が間違えた設問数もここだけ二桁となり,平均点が一番悪くなってしまったことが明確である。ただし,新規問題はすべてのカテゴリーを合わせても全体の5%に過ぎず,変更を加えた設問数を足しても22%と,2カ月前に発表する新問題項目情報で言っているように,ほぼ「全体として20%程度の問題が入れ替わります」という範囲である。

課題試験の平均点が合格率の割に低いのは0点というケースがあるからだ。未提出の人は当然だが,締切を守らなかったり,作品と制作ガイドのうち一方が欠けている場合や,設計サイズが要求と違っているものなど,提出要件に違反しているものは決定的な欠陥としてすべて0点になってしまう。
今回,不正コピーと見なされるものはなかったが,前回のデータを使用している作品が目立った。課題A・Bで配布するデータは一見同じように見えても毎回変更を加えており,採点者には使われたデータがいつのものであるか分かるようになっている。つまり,過去に受験した人の作品の不正コピーなどを防ぐための一つの要素となっているのだ。必ず当日に配布されたデータを使って,「課題の手引き」の要件(これも毎回変えている)に従って制作しないと,大きな減点の対象となるので注意してほしい。

次回試験 次回 第21期本試験は2004年3月14日(日)に東京・大阪・名古屋・福岡にて実施する。仙台・札幌には8月の22期試験で会場を設置予定である。試験の詳細や申請方法などの最新情報は当ホームページに掲載している。
なお次回の更新試験は,1期・5期・9期・13期・17期と5つの期で合計1638人が対象となり,21期試験と同時期に在宅受験で実施する。

2003/11/29 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会