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先進国で伸びるDM市場

広告市場は世界的に拡大している。1995年〜2000年の5年間で見ると、北米市場では27%伸び、欧州でも25%の伸びを示している。日本はやや元気がなく13%に止まっているが現下の経済情勢を考えれば順調に伸びたと言うべきであろう。
メディアの利用は、歴史的、文化的背景あるいは生活習慣によって各国それぞれの姿がある。「朝起きてやることは何か」を聞いたアンケート調査があるが、ドイツとオランダは「読む」人が最も多い。当然のことながら新聞を読むということだろう。イギリスとイタリアでは「見る」が非常に多い。これに対してフランスは「聞く」が各国中最も高くなっている。ちなみに、「食べる」はドイツとオランダがいずれも96%と高く、逆にイギリスは69%で各国中では最も低くなっている。

広告に関しては、米国は広告大国でありDM天国である。米国の一人当りの広告費は84,000円(1ドル110円で計算)で日本の2倍である。一人当りGDPとの対比で見ると、日本を含めた先進国では1%前後が普通であるのに対して米国は2.5%程度になっており、米国の広告費は先進国一般の2倍以上になっている。
DMについてみると米国の年間DM広告費総額は4兆9千億円強で、こちらは日本の13倍であり、全広告費に占めるDM広告費の比率は、アメリカの18%に対して日本は5.7%である。アメリカのDM広告費はテレビ広告費とほぼ同額の大きさになっている。
メディアの利用は各国のさまざまな背景で異なるといったが、アメリカは国土の広さと開拓の歴史から通信販売が発達したことが巨大なDM広告の背景にある。したがって、今後の日本のDM広告市場の見方として、米国の現状をもとに、いまとは一桁大きい市場を想定するのは早計であろう。


郵政総合研究所の調査(「メディアミックス型マーケティングとダイレクト・メールの利用について」)によれば、日米の実質的なDM通数の格差は1.9倍程度と推計されている。
上記のように巨大な米国のDM市場だが、1996年から2001年までの5年間でも28%伸びている。基本的にはマス媒体による新規顧客拡大から既存顧客を深耕していくワンツーワンマーケティングへの流れがあるからである。これは経済が成熟化した先進各国共通のものと思われる。
不況が続く日本ではあるが、過去5年間のDM市場は広告市場全体を上回る24%の伸びを示した。今後、人口減少の時代を迎えて高い経済成長率が期待できにくい日本ではあるがDM市場には拡大が期待できるだろう。 .

2003/12/26 00:00:00


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