本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

ダイレクトマーケティングとDMA

「ダイレクトマーケティング」という言葉を聞いた事がありますか? マーケティングに関係されている方は既に良くお分かりの事と思いますが,印刷関係の業界の方にはあまりなじみの無い用語と思います。本稿では意味を説明するとともに,世界的にこの手法の普及促進をしている団体であるDMAを紹介します。
まずダイレクトマーケティングの定義ですが,これは,「発注,情報提供の要求,あるいは特別な製品やサービスを購入するために店舗等を訪れる,等の反応を誘起させる事を目的とした,消費者等に対する直接的なコミュニケーション」です。具体的には,電話によるテレマーケティング,紙のダイレクトメール,インターネットを用いたe-メール等を含む幅広い領域を包含します。このダイレクトマーケティングは特定個人が対象となりますが,従来の一般的なTV・ラジオ・新聞等は特定個人を対象としていないマスマーケティングであるという点が大きな相違点です。欧米,特に米国でダイレクトマーケティングが非常に発達していますが,ダイレクトマーケティングという言葉は,1967年にワンダーマン氏(Mr.Lester Wunderman)がMITの講演の中で,その名前と意味する所を明示したのが最初です。爾来ダイレクトマーケティングの父としてワンダーマン氏はその発展に寄与されてきました。提唱されて以来本年で37年経過しますが,現在は米国のDMA(Direct Marketing Association) がその活動の中心となっており,毎年10月頃には世界的な大会を開催し,米国は当然として日本,韓国,中国からも多くの参加があります。

ちなみにDMAは1917年に創設され現在会員数が4,700,会員も米国を含む53ヵ国に広がっています。また活動対象もダイレクトマーケティングのみならず,データベースマーケティングや双方向のインタラクティブ・マーケティングを含んでいます。会員企業には AT&T,IBM,Microsoft,Home Shopping Network,The New York Times,Prudential Insurance,Phillip Morris,Procter & Gamble, R.R.Donnelley,DoubleClick 等,非常に幅広い業界からの参加があります。又,DMAの具体的な活動内容は,以下の通りです。

・消費者に対するダイレクトマーケティング等の紹介
・業界全体の地位向上に向けた活動
・トレーニング等の機会の提供
・業界動向等の調査の実施
・関連する各種イベントの主催

最近では,「Direct Response Study」として1,100以上のキャンペーンについてレスポンス率を調査したレポートを出しています。又,郵便サービス改革に向けて米国の郵政公社との協力活動,又反スパム法案に対する活動,インターネット・アクセス税や遠隔地売り上げ税への対応等が主な所でしょう。特に米国でもプライバシー保護に関する政治的な風当たりが近年非常に強くなっており,本年1月からカリフォルニア州で施行される,Opt-in Law では明確に要求した人以外にはe-メール広告を送る事が禁止となりました。この様な動きはビジネス上,大きな影響を与える為,e-メール・マーケティングの4つの原則(Four Pillars)をDMAでは提唱しています。この様な動向は日本では今まであまり知られていませんでした。昨年5月に国内でも個人情報保護法が成立しましたが,先進国である米国の事情をもっと知る事が今後ますます重要となると思われます。この様な考えをベースとしてポスタルフォーラムのコンファレンスでは皆様に日本国内・米国事情をもっと知って頂く機会を設けました。それが3つの基調講演です。

2月4日に日は本郵政公社の生田総裁から日本の郵政事業の動向についてお話しを頂きます。小泉改革の目玉として郵政の民営化論議が盛んですが,総裁のお考えを直にお聞き致します。続いて2月5日には上記のDMA会長兼CEOのMr.Robert Wientzen をお招きし最新の米国事情やDMAの活動についてお話し頂きます。米国の郵政改革やスパム問題の最新動向,それに対するDMAの対応等,これからの日本の動向を考える上で参考となる情報が聞けます。また最終日2月6日にはダイレクトマーケティングの父,Mr.Lester Wunderman 氏にお越し頂き,ダイレクトマーケティングの新しい流れについて創始者の立場でお話し頂きます。

以上の機会を通じ,マスマーケティングに対しダイレクトマーケティングはどう活用できるか,その時の課題は何かを皆様に考えて頂きたいと考えております。特に国内で伸びつつあるDM(ダイレクトメール)や今後期待のe-メール等についてまだまだ様々な課題があります。次の1手を打つ為にもこの機会をご利用下さい。尚,関連情報は下記ホームページをご参照下さい。

ポスタルフォーラム(ここから基調講演の申し込みが可能です)
DMA(英文)
ワンダーマン氏紹介
ポスタルフォーラム関連記事

2004/01/08 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会