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全体最適化の核となるMIS,JDF

プリプレスのフルデジタル化、CTP化が一般的になり、印刷機の準備作業時間が10分以内でできるところまで合理化されて、個別工程内での生産性向上努力で得られる成果は少なくなってきた。これからの生産性向上は、印刷物制作・製造全体を見渡してのボトルネックの排除、情報伝達の効率化などに視点を変えなければならない。CIMやEDIによる全体最適化の実現だが、その中核になるのがJDFと管理情報システム(MIS)である。
PAGE2004コンファレンス「MISトラック」では、先進的MIS、JDFの運用事例,Webおよびネットワークインフラの技術動向を紹介しながら全体最適化実現の道筋を考える。

D1.これからの印刷業MISへの新提案

従来、経営管理のコンピュータシステムを考える時の主な内容は、入出力帳票の内容項目、レイアウトといったことであった。しかし、全体最適化を目指すMISでは、統合化、オープン化、自動化が大きな課題である。今後のIT化投資では、日々の業務の改善、経営管理の高度化という果実を得ながら、全体最適化実現に必要な機能を具備したMISへと進化させていくプロセスを十分に考えて取り組まなければ大いなる無駄をせざるを得なくなる。
本セッションでは、現状におけるMIS構築の問題点から、将来に向けてのMISのステップアップ、そしてIT投資を十分に見返りのあるものとするためにはどのようなことが必要かを、事例も紹介しながら議論する。

(1) これから目指すべきMISの姿
印刷業界が何故全体最適化を目指さなければならないのか、その中で何故MISが中核的存在となるのか、またそのときのMISとはどのようなものでなければならないかを解説する。

(2) 現状のMISの問題点と改善の方向
印刷業界では、パッケージソフトは使えないという。また、同じ仕事の見積りを自社の営業マンにさせてみても、5割、6割の違いが出ることは決して珍しくない。これらは一品ごと個別に受注生産を行っている印刷業の特質を示すものではあるが、この問題はこれからのMISで求められる統合化、自動化を阻む大きな要因ともなる。
「標準手順計画を軸とするこれからのMISの骨格」についての新提案を元に、現状のMISをめぐる問題とは何か、今後はどのように考えて行くべきかを議論する。

(3)将来のMISへ向けたロードマップ
これからのMISは、外部組織との情報共有やEDIを可能にするオープン化したものへと進化させていかなければならないが、そのためには、Web、XML等の技術の動向を見通しておく必要がある。MISに関連する技術の動向を紹介し、合わせて将来のMISへ向けたロードマップを提示する。
同時に、IT投資が単なる必要経費で止まることなく、十分な費用対効果を生み出すものにするためには、どのようなことが必要なのかを議論する。

D2.ネットワークによる顧客との連携強化

IT投資は業務の合理化,間接人員の削減という文脈で語られることが多いが,それだけではいずれはジリ貧になってしまう。
顧客にとって新たな'価値'を創造し,売上・利益UPに結びつけるための各社の取り組みを伺う。'ネットワークを利用したコミュニケーション改善'が本セッションの共通キーワードとなる。

(株)東京印書館の取り組み
問い合わせ対応に忙殺されていた工務部門の業務改善を動機として,入稿から納入までの必要情報を全ての関連会社と関連部署へリアルタイムに公開するWebシステム「PPP-NET」を2000年6月に独自開発にて立ち上げる。現在は「PPP-NET」をさらに発展させ,顧客との連携強化を目指している。同社の業務改善プロジェクトの歩みと今後の展開を伺う。

大平印刷(株)の取り組み
まだまだ概念的な話の域を出ない「JDF」であるが,いち早く導入を決断し具体的な取り組みを行っている。社内の業務改善(リアルタイムに近い原価把握,進捗把握)のみならず,主要クライアントとのSCMによる受注拡大を視野に入れた取り組みの話を伺う。

(株)広告製版社の取り組み
新聞広告用製版に特化した同社では,「広告媒体情報処理システム」を構築し,広告制作の発注から納品まで一気通貫の工程管理を実現している。このシステムをクライアントに公開することで,発注から納品までの情報管理をクライアント自ら行うことも可能になっている。さらに,PAGE2004では先端プリンティングZONEにおいて,タッチパネル式大型プラズマディスプレイとテレビ会議システムを出展し,個人がパソコンに向って行なっている業務をグループワーク化し、大型ディスプレイ上で情報を管理コントロールするためのソフトのデモを行う。情報の共有と共同利用、そしてクライアントの情報資産構築の実現にむけての同社の取り組みの話を伺う。

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2004/01/21 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会