Drupa2004は「JDFのDrupa」になると言われている。JDF対応システムの第1段が一気に紹介されるだろう。しかし、それらを見ても、何故、JDF、JDFと騒ぐのか理解できないだろうし、自社として何を買ったらいいかよくわからないということになりかねない。JDFを使った全体最適化は、従来とは異なる要素を組み合わせて実現するものであり、各社が、5年後、10年後に自社が目指す姿を描いていなければ、ひとつひとつの製品の評価ができないからである。
CIMとは、コンピュータ支援製造(CAM:Computer Aided Manufacturing)、コンピュータ支援設計(CAD: Computer Aided Design)およびコンピュータ支援管理(CAP: Computer Aided Planning)を共用データベースによって統合したコンピュータ統括生産システムである。
現在の印刷に即して言えば、コンピュータ支援設計とはフルデジタル化されたプリプレスでのデータ作成であり、ここで作られたデータとコンピュータ支援管理、つまり管理情報システム(MIS: Management Information System)で作られた日程計画、作業割り当て情報に基づく生産設備の運転指示によって、自動化された印刷、後加工機をコントロールする。これがCIMである。また、生産機械の稼動状況に関する情報は機械から直接管理情報システムに送られてリアルタイムでの進捗把握やその後の生産性分析や各種の経営判断資料として活用できる生産システム、と言い換えることができるだろう。このようなプリプレスシステム、印刷・後加工機、管理情報システム間のデータ交換フォーマットがJDFである。
得意先の印刷物発注担当者が、あるマニュアル500部を倉庫から出して必要な部署に送った。その担当者は、資材の在庫管理のコンピュータに500部使ったことを入力する。その資材管理のコンピュータはそのデータに基づいて在庫数量を変更するが、その部数は180部となった。実は、この得意先と印刷会社ではマニュアルの在庫が200部を切ったら再版を発注するという取り決めをしてある。したがって、得意先の資材管理コンピュータはその取り決めにしたがって、自動的に印刷会社の受注・販売管理のコンピュータにあらかじめ決めておいた一定量のマニュアルの印刷発注を行う。印刷会社の受注・販売管理のコンピュータは同社の工程管理のコンピュータに仕事を受注したことを自動的に伝える。工程管理のコンピュータは、受注したマニュアルのプリプレスデータを、各仕事のデータファイルを保管してあるコンピュータから呼び出し、そのデータと製造指示とをデジタル印刷機に送る。デジタル印刷機はそのデータと製造指示にしたがってマニュアルを印刷・製本して製品を仕上げる。デジタル印刷機は、印刷製本が終ると、それが終ったという情報を工程管理のコンピュータに自動的に伝える。連絡を受けた工程管理のコンピュータは、契約している配送会社の受注管理のコンピュータに出来あがったマニュアルの配送依頼を、これも自動的に行う。
(「JAGAT info 2004年4月号」より)
2004/04/26 00:00:00