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ユーザに繰り返し使ってもらえるWebサイトに

多くのWebサイトは,ユーザに繰り返し利用されることを期待し,何らかの満足度を得てもらうために構築された。ユーザはそのサイトに様々な理由で訪れ,目的を達成しようとする。そして訪れたサイトで満足できる体験を得られれば,ユーザは自然とそのサイトを再訪するようになる。
そこでサイトの構築・運営側は,ユーザに足を運んでもらうための工夫はもちろん,訪れたユーザへの配慮の視点が必要となる。

利用者を配慮したサイト構築の考え方・手法は「ユーザビリティ」と呼ばれ,ISO9241では,「特定の利用状況において,特定のユーザによって,ある製品が特定の目標を達成するために用いられる際の効果,効率,ユーザの満足度の度合い」と定義している。
また最近では,ユーザビリティよりもさらに幅広い概念を示す「ユーザ エクスペリエンス」という考え方が現れた。製品やサービスの使用・消費・所有などを通じて人間が認知する体験を意味する。製品やサービスの機能や結果ではなく,使用する過程を重視し,ユーザーが真にやりたいことを「楽しく」「面白く」「心地よく」行える点を強調する考え方である。

とくにECやeカタログ,コミュニティサイトなどオンラインでサービスを提供し,ユーザがインタラクティブに関わるサイトでは,ユーザビリティやユーザ エクスペリエンスを配慮したサイト構築が必須である。ECサイトでは購入までの手続きの簡素化,eカタログでは商品そのものの分かりやすさ,コミュニティサイトでコミュニケーション促進を目的とするならば,参加手順を簡略化しユーザが参加しやすい形態にしておくなどである。

そんな今,インターネット技術の進化とより優れたコミュニケーションツールのニーズから「RIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)」が注目を浴びている。簡単には,一時期エンタテインメントサイトで多用された「Flash」を,システムのバックサイドやインターフェース制作に取り入れて,ユーザビリティやユーザ エクスペリエンス デザインを実現していこうというものである。
何がリッチなのかと言うと,情報内容に合ったインターフェースで,ユーザが直感的に理解でき,直感的に操作が行えるという点である。ひとつの情報がインターフェースや機能的な面を含めてグラフィカルに提供される。

RIAの事例として,2004年4月からANAは空席照会・予約画面に従来のHTMLベースのものに加え,「Flash」を使ったANA PASSPORTというサイトを登場させた。
ANA PASSPORTでは,インターフェース面での使い勝手がかなり向上しており,目的地を選ぶと飛行機が画面上を飛んだり,カレンダーや時計が回転するなど,オンライン上での航空券購入方法がHTMLの画面と比べてより目的にかなっており,しかも遊び心があってユーザが楽しくなる仕掛けがあちこちに見られる。担当者によるとアクセス数もまずまずということで,RIA多くの可能性を持つRIAに期待したい。

▼関連セミナー▼
6月10日(木) Webビジネスに必要なサイト再構築の考え方と実践

2004/06/01 00:00:00


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